ユング心理学の視点から見た日記。スーパー戦隊シリーズ キョウリュウジャー、トッキュウジャー、東のエデンのレビューと感想。エニアグラム、子どもが育つ魔法の言葉、話が通じない人の心理、自分に気づく心理学。ドラマやアニメから学ぶ人生観。
 
MHK総合 クローズアップ現代

「心と体を救う トラウマ治療最前線」より。



なかなか治らない、うつ病や原因不明の身体の痛み。

そのカギを握っていたのは、心の傷、トラウマでした。


トラウマ(精神的外傷)とは、恐怖やショック体験などにより精神に受けた傷のこと。

今年、アメリカの精神医学会が、19年ぶりに診断マニュアルを改訂しました。

そこでは、トラウマが今まで考えられてきた以上に、幅広く心の病に関わっているという見解が示されている。

そして、トラウマを根本から治療することで、うつの症状や依存症を改善しようという試みが、行われようとしています。



コントロールできない心や体の不調により、社会生活に適応できなくなってしまう人は、少なくないようです。


・学校や職場、人混みに行くだけで、なぜか苦痛を感じる。
・楽しそうな家族を見るだけで、なぜか不安やイライラを覚える。


心の問題とされる、うつ病、不安障害、依存症、摂食障害。

体に表れる、腰痛や頭痛。

行動の問題である、不登校、非行や犯罪、自傷行為、自殺。

これらの根本的な原因として、患者自身も気づかないままでいるトラウマが、深く関わっているのだという。

つまり、表面的な問題に対処するには、心の奥に隠れてしまっているトラウマを治療することが大切なのです。



<トラウマ治療>


慢性的な頭痛に悩まされてきた、女性。

様々な病院で痛み止めを処方されてきましたが、治りませんでした。

10年前には精神科で、うつ病と診断され、抗うつ薬による治療を、5年間続けてきました。

しかし、頭痛は治まらず、うつの症状も悪化。

仕事に行くことも、できなくなってしまいます。


死のうとまで考えた彼女ですが、医師にあるクリニックを勧められた。

そこで担当の臨床心理士と話すうち、育った環境について語られたのでした。

この女性は子どもの頃、過酷な虐待を受けていました。

その体験が、深いトラウマになっていたのです。


トラウマを抱えている人は、その体験を思い出した時、感情を司る右脳が興奮状態になる一方で、記憶を処理する左脳の活動は低下。

脳の活動がアンバランスになり、心と体に異常をきたすのだという。


これまで、トラウマによって起きる問題への対処法として最も広く行われてきたのが、<認知行動療法>。

患者はつらい体験から、多くの物事を悲観的に捉える癖がついてしまっています。

それをカウンセリングなどを通じて、思考の癖を修正していくのです。


さらにこのクリニックでは、認知行動療法に加え、<EMDR>という治療法が行われていました。

これは、眼球運動による脱感作と再処理法。

トラウマになっているつらい記憶を心に思い浮かべながら、指の動きや機械の光の動きを追い、目を左右交互に動かします。

脳に左右交互の刺激を与えると、右脳の興奮状態や左脳の機能低下が和らぐのです。

そのため、比較的早く、バランスのとれた状態をとり戻し、トラウマを解消できると考えられている。

WHO(世界保健機関)も今年、EMDRを患者の負担が最も少ないトラウマの治療法として推奨しました。





女性はEMDRによる治療を続けながら、幼い日の虐待の記憶を一つひとつ たどっては、トラウマを取り除くという作業を繰り返しました。

そして、治療開始から3か月目のこと、深いトラウマを生み出した記憶に、突き当たったのでした。

あるつらい経験から、女性はずっと罪悪感を持ち、自分を責め続けていました。

過去は単なる過去ではなく、現在にも強い影響を与えていたのです。

この否定的なイメージが、うつや頭痛を生み出していたんですね。


女性は臨床心理士と共に、この思考パターンを取り除く作業に取り組んでいくことになりました。

そしてやがて、「自分は悪くない」と思えるようになるのでした。

これが、長年苦しめられてきたトラウマから解放された瞬間だった。

今では、頭痛やうつの症状も、治まってきているのだといいます。





こわかったあの日に バイバイ! : トラウマとEMDRのことがわかる本





スタジオで解説してくれたのは、浜松医科大学 特任教授の杉山登志郎さん。


トラウマ処理というのは最近になって進んできた治療法。

なので、分からないことも多い。

ただ、効果があることは間違いないし、エビデンス(科学的根拠)も出てきているのだそう。


トラウマ記憶は、海馬とは違う場所に、ためられるようです。

ふだん思い出すことはできないのですが、何かの拍子に、いきなり出てくる。

それが心身に影響を与えてしまうので、根本から処理してしまおうというわけ。



治療によりトラウマ体験が忘れられるのかといえば、そんなことはありません。

そうではなくて、今まで思い出せなかったものが、思い出せるようになってくる。

しかも、思い出してもパニックになったり大ダメージを受けるのではなく、いわば、適度な距離を取れるようになってくるんですね。


今までのトラウマ処理は、<宣言暴露・暴露療法>というやり方でした。

トラウマ体験を何度も思い出したり、語らせたりする。

なので、どうしても、負担が大きかったんですね。

また、子どもだったり、発達障害であったりする場合、焦点化自体が非常に難しい。

EMDRの場合は、焦点化しなくても、漠然と思い浮かべるだけでも処理ができるという利点があります。





講座 子ども虐待への新たなケア (学研のヒューマンケアブックス)





宮城県名取市にある、子ども総合センター。

ここで東日本大震災の直後から、子どもの心のケアに当たってきたのが、精神科医の本間博彰さんです。


今、被災地の子どもたちの行動に、大きな異変が起きているのだという。

授業中、落ち着きがなく、暴力を振るう。

自分の身体を、繰り返し傷つける。

そんな心の傷・トラウマが原因であろう問題行動が、相次いでいます。

そのため、被災した小学校に出向き、トラウマを和らげるための集団療法などを行っていますが、追いついていないのが現状です。


このセンターで治療を受ける子どもは、震災前に比べ、2倍近くに急増。

今年度は、1000人を超える見込みです。


子どもの時代に問題がケアされないと、成人期に引き継がれてしまう可能性が…。




アメリカでは、行政と民間団体が一体となって、子どものトラウマ治療に取り組んでいます。

ネブラスカ州にある、<愛着・トラウマセンター>。

不登校や非行、摂食障害など、様々な問題を抱えた子どもたちが、訪れます。


父親から虐待を受けていた、13歳の男の子。

児童相談所に保護され、現在は里親の元で暮らしています。

しかし、夜になると悪夢にうなされ、睡眠薬を飲まなければ、眠ることができません。

学校を休むことも、しばしば。


トラウマセンターは、学校や児童相談所と連携。

問題を抱えた子どもの紹介を受けます。

虐待を受けて保護されたすべての子どもには、州の規定で、トラウマ治療が義務付けられている。

費用は全額、州が負担。

つまり、無料です。


先に紹介した男の子も、EMDRによる治療を、週に1回受けています。

子どもの内に治療を施し、将来、深刻な病や問題が出てくるのを防ごうというわけ。


アメリカでは虐待がもたらす医療費や高い福祉費の増加、自殺や犯罪による損失は、年間10兆円を超えるとされている。

トラウマ治療は、社会の損失を減らすことにも、つながるんですね。


日本でも、和田一郎さんが2012年に、虐待のコストの試算をしています。

それによれば、1兆6千億円という結果が出ている。



EMDRによる治療ですが、日本ではまだ遅れているのが現状。

トラウマ治療ができる治療者は、300~400人ではないかといわれる。

なので、専門家の育成が急務となるようです。


ちなみに、日本EMDR学会のホームページでは、治療者リストが公開されています。

EMDR治療者リスト│日本EMDR学会





子ども虐待と関連する精神障害 (子どもの心の診療シリーズ 5)





 → 「考え方を変えれば、気分は変わる」




関連記事
[サイト内タグ]:  うつ病



ブログランキング・にほんブログ村へ
BlogPeople「人間・哲学/人間考察」
blogram投票ボタン


ランキングに参加しています
よかったらクリックしてね


秋だから、実をためる


↑ページトップへ


■ 最近のエントリ

■ 人気ページランキング


↑ページトップへ




// HOME //
Powered By FC2ブログ.
copyright © 2005 枕石漱流 日記(ユング心理学の視点から) all rights reserved.
ブログパーツ アクセスランキング
■ Amazon
■ 注目記事
■ アーカイブ
■ カテゴリ

■ 月別アーカイブ

■ 検索ぷらす


【注意】 ENTERキーだとうまく表示されないようです。申し訳ございませんが、ボタンを押してください。

■ キーワードハイライト機能

検索時、検索語句がハイライトされます。

■ BlogPeople リンクリスト

リンク集と更新状況↓



☆登録する by BlogPeople☆

■ RSSリーダーに登録

 RSSリーダーで購読する

 メールで購読する


(リンク切れを修正しました)


■ 最近のトラックバック
■ スポンサードリンク

■  
■ スポンサードリンク



■ 最近の記事
■ カレンダー

04 | 2017/05 | 06
- 1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30 31 - - -

■ FC2カウンター



現在の閲覧者数:

■ プロフィール

南方 城太郎

Author:南方 城太郎
生息地:関西
分類:昭和人間
生まれ:
黒電話、赤電話が主流で、冷房は扇風機、暖房は石油ストーブと炬燵という時代


日記について


拍手する

プロフ
電脳露店マイアソシエイトストア
おバカ映画

■ リンク
■ RSSフィード
■ インフォメーション


検索サイトiscle
(検索サイトさんです)

■ QRコード

QRコード

携帯でも御覧になれます。

■ 地域情報



ジオターゲティング





■ にほんブログ村

■