ユング心理学の視点から見た日記。スーパー戦隊シリーズ キョウリュウジャー、トッキュウジャー、東のエデンのレビューと感想。エニアグラム、子どもが育つ魔法の言葉、話が通じない人の心理、自分に気づく心理学。ドラマやアニメから学ぶ人生観。
 
ミヒャエル・エンデ作

モモ
時間どろぼうと、ぬすまれた時間を人間にとりかえしてくれた女の子のふしぎな物語


そのレビューと感想



第11回「親の言うこと」


(第7章「友だちの訪問と敵の訪問」より、その2)


めがねをかけたパオロという男の子が、もうここには来られなくなるかもしれない、と言いました。

パパやママが、こう言うのだという。

ここの人たちはまったくの ぐうたらで、なまけものだと。

神さまから時間をぬすんでるんだ。だから、ひまがたっぷりある。

「そして、きみたちみたいな人がおおすぎるから、ほかの人たちはますます時間がすくなくなってしまうんだって」

「だからもうここに遊びにきちゃいけない、そうしないと、きみたちみたいな人になっちゃう、って言われたんだ」


そう言われたのは、パオロだけではないようでした。

何人かの子どもが、うなづいていた。


ジジは子どもたちを順にながめながら、ききました。

「おまえたちも、おれたちのことをそう思うのかい?」

「それなのにどうしてここに来るのかい?」

「おまえたちもやっぱりおれたちのことを、ひとの時間をむだにつぶさせるなまけものだと思ってるんだな?」


子どもたちは何も言えず、ただこまったように、足元を見ていました。


が、そのうちに、パオロが小さい声で言った。

「ぼくの親はうそをつかないもん」

そして、「それじゃ、あんたたちはちがうって言うの?」、そうきいた。


口をひらいたのは、ベッポじいさんでした。

ベッポはすくっと立ち上がると、三本の指を高々とかかげ、胸をはって言った。

「わしはいまだかつて――ただのいちども、神さまからだろうと、ほかの人間のなかまからだろうと、一秒の時間たりともぬすんだことなどありはしない。神にかけて誓って(ちかって)もいい!」


「あたしも!」と、モモが言った。


「おれもだ!」と、ジジもまじめな顔で言いました。


子どもたちは驚いたような顔をして、だまってしまった。

それほど、強い印象を受けたのです。

なので、これ以後、この三人の友だちの言葉をうたがうものは、ひとりもいませんでした。



ジジは不思議に思っていたことを、子どもたちにきいた。

いぜんにはみんな、モモに話を聞いてもらいに来ていた。

すると、話を聞いてもらっているうちに、みんなは自分じしんを見つけ出した。

ところが今じゃ、みんなそんなこと、したがらない。

まえにはみんな、おれの話も聞きに来たもんだ。

そして、自分じしんをわすれたものだ。

ところがそれも、今じゃしたがらない。

そんなことにつかう時間はないって言っている。

そして、おまえら子どものための時間もないって言うんだろ。

「おかしいじゃないか、みんなはどういうことにつかう時間がなくなったのか、考えてみろよ!」


ジジはこのまえ、町でむかしからの知り合いに会ったのだという。

それは、床屋のフージー。

彼を見たとき、ジジはすぐには誰だかわからなかったのだといいます。

それほど変わってしまっていた。

いらいらしていて、おこりっぽくて、ゆううつそう。

いぜんはいいやつで、歌はうまいし、彼一流の考えを持っていた。

それがきゅうに、なんにもするひまがなくなったのだという。

ジジから見れば、もう抜けがらどうぜんでした。


しかもそうなったのは、フージーひとりではない。

どっちを見ても、やたらとそんな人が目につく。

しかも、どんどん増えてる。

まるで、伝染病(でんせんびょう)だ。


ベッポも、うなづきました。

そういう伝染病があるにちがいない。


けれどそれなら、とモモは思う。

「あたしたちの友だちを助けてあげなくちゃ!」





モモ―時間どろぼうとぬすまれた時間を人間にかえしてくれた女の子のふしぎな物語 (岩波少年少女の本 37)






<感想>


「だって、パパとママが言ってたから」

そういうのは、ありそう。

「パパとママが言ってたから」

それで、友人にけっこうなことを言ってしまう。

あるいは、知らない人に、ひどいことを言う。


子どもはまだ自分を作っている最中なので、仕方ないですね。

身近なモデル、親をマネるのは仕方ない。


でも、子どもでなくなってからは、どうだろう?


「○○が言ってた」

テレビが言ってた、ネットで書いてた、○○さんが言ってた。

それをもとに、ひどいことを言っちゃうかも。


小さい子は思う、「ぼくの親はうそをつかないもん」。

でも、やがて、必ずしもそうでないことを、知る。


そして、ベッポは以前、言ってた。

「世の中の不幸というものはすべて、みんながやたらとうそをつくから生まれている、それもわざとついたうそばかりではない、せっかちすぎたり、正しくものを見きわめずにうっかり口にしたりするうそのせいなのだ」


誰かが、確かめもせずに、うっかり口に出した、そんなウソ。

その気はないけど、結果、ウソになってしまったもの。


「○○が言ってた」


気をつけないといけない。

気をつけないと、いけない。

あぶない、あぶない。





モモも、ベッポも、ジジも、町から離れて暮らしています。

それは距離だけではなくて、目に見えない枠からも、はみ出しているのかも。


だから、ある人からは、どうしようもない人だと思われたりもする。


でも、「だから」は、別にもあるよう。

モモだから、ベッポだから、ジジだから、呑み込まれずに、異変に気づけた。

町の人たちが変わってしまったことを、ちゃんと意識できた。


いや、町の人だって、うすうすは気づいているのかもしれない。

でも、意識することはできない。

今のところ、言葉にできたのは、みんなから離れた、時にはどうしようもないと言われる、そんな人だけでした…





子どもを傷つける親 癒す親―シスター鈴木秀子の親と子の愛の絆12のステージ
 



N.Y.式ハッピー・セラピー コレクターズ・エディション [DVD] 





モモと話すと、自分が見えてくる。

ジジの話を聞くと、自分を忘れさせてくれる。

話の効能。

カタチは、いろいろ…





 <<「(10) 追われる大人と、追われる子ども」
    「(12) 鏡のモモ」>>




関連記事
[サイト内タグ]:  ミヒャエル・エンデ「モモ」



ブログランキング・にほんブログ村へ
BlogPeople「人間・哲学/人間考察」
blogram投票ボタン


ランキングに参加しています
よかったらクリックしてね


秋だから、実をためる


↑ページトップへ


■ 最近のエントリ

■ 人気ページランキング


↑ページトップへ




// HOME //
Powered By FC2ブログ.
copyright © 2005 枕石漱流 日記(ユング心理学の視点から) all rights reserved.
ブログパーツ アクセスランキング
■ Amazon
■ 注目記事
■ アーカイブ
■ カテゴリ

■ 月別アーカイブ

■ 検索ぷらす


【注意】 ENTERキーだとうまく表示されないようです。申し訳ございませんが、ボタンを押してください。

■ キーワードハイライト機能

検索時、検索語句がハイライトされます。

■ BlogPeople リンクリスト

リンク集と更新状況↓



☆登録する by BlogPeople☆

■ RSSリーダーに登録

 RSSリーダーで購読する

 メールで購読する


(リンク切れを修正しました)


■ 最近のトラックバック
■ スポンサードリンク

■  
■ スポンサードリンク



■ 最近の記事
■ カレンダー

05 | 2017/06 | 07
- - - - 1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30 -

■ FC2カウンター



現在の閲覧者数:

■ プロフィール

南方 城太郎

Author:南方 城太郎
生息地:関西
分類:昭和人間
生まれ:
黒電話、赤電話が主流で、冷房は扇風機、暖房は石油ストーブと炬燵という時代


日記について


拍手する

プロフ
電脳露店マイアソシエイトストア
おバカ映画

■ リンク
■ RSSフィード
■ インフォメーション


検索サイトiscle
(検索サイトさんです)

■ QRコード

QRコード

携帯でも御覧になれます。

■ 地域情報



ジオターゲティング





■ にほんブログ村

■