ユング心理学の視点から見た日記。スーパー戦隊シリーズ キョウリュウジャー、トッキュウジャー、東のエデンのレビューと感想。エニアグラム、子どもが育つ魔法の言葉、話が通じない人の心理、自分に気づく心理学。ドラマやアニメから学ぶ人生観。
 
交響詩篇エウレカセブン 第51話「ニューオーダー」

エウレカセブンAO直前スペシャルより。



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あの子は言った。

「わたしは人間に生まれたかった」



「大事な人、とても大切な人、救いたい人たち、守りたい星――この星」

「わたしは、人間に生まれたかった」

「あの人と一緒に、生きていたかった」

「それは、たった一つの想い」

「そして、決して叶ってはならない願い」




<エウレカ~!>と、あの人の声がする。

「耳を塞がなくては」

「瞳を閉じなければ」

「この足を、踏み出すために」


「わたしには、できるのだから」

「この体を、7つの欠片にして大地に返すだけで、この星は守れるのだから」



エウレカセブン 第51話 ニューオーダー


「行く手に針の山が立ちはだかるのなら、両の手をついて登ろう」

「煮えた油なら、身を晒して潜ろう」

「たどり着いた先に何が待ち受けようと、わたしはこの星を救うために、産み落とされたのだから」

「わたしになら、救えるのだから」



「でも、もし、あなたがこの頭をひとつ撫でてくれたら、きっとわたしは張り裂けんばかりの声を上げて泣いてしまうだろう」

「もう行くね、レントン」

「あなたの心には、笑顔を残したいから」




少年の声が聞こえた。

<エウレカ~っ! 大好きだ~!>


女の子は答える。

「わたしも大好き――レントン!」

「つむじからつま先まで、全部好き」

「大好きだもん」

「大好きだから…」

「ありがとう…バイバイ」

「守るよ…あなたが生まれたこの星は、私が必ず、守ってみせるよ」





「チクショウ」と、少年は震えながら言った。

「オレ、何も知らなかった」

「エウレカの使命のことも、何もかもすべて!」


口惜しさが、にじみ出る。




「どうしてだろうね?」、タルホが言った。

「どうしてふたりは、出会っちゃったんだろう?」

「この夜空は、数えきれないくらいの輝きに満ちているというのに」

「宇宙の広さに比べたら、塵(ちり)ひとつに満たないこんな星にだって、息が詰まるほどの生きとし生けるものがあるっていうのに」



「タルホ、だいじょうぶか?」と、ホランドは気遣いました。


だいじょうぶと返してから、タルホは言った。

「ねえ、ホランド。どうしてだろうね?」


「さあな」と、ホランド。

「オレには――オレにはオレのできることしか、できねえ」

「せめてものことだけはやろう、やれることだけはやろう」

「それが塵にも満たないことだって分かっていたとしても…」



「そうだね…」と、タルホも うなずいた。


ホランドは、あのふたりを想う。

「天使と人間の恋か…」




タルホはエウレカに声をかけた。

「行くのね?」


うんと、エウレカは答える。


タルホは言った。

「せめてやつが目を覚ましてからでも…」


でも、エウレカは、ううんと首を振る。

だいじょうぶ? と訊くと、だいじょうぶと答えます。

でも、その目は腫れていた。


そんなエウレカの手を握り、タルホは話す。

「こうして触れた手の温かさだって、わたしたちと何にも変わらないのに…」

「悲しい時には涙だって出るのにね」



穏やかな声で、エウレカは言った。

「ありがとう、タルホ」


「どうして?」と、タルホは返す。

「何もしてないわよ」

「わたしたちはあんたに、何もしてあげられなかった」



「そんなことない」と、エウレカは言う。

「わたし、たくさんのものをもらった」


みんなとの時間、みんなとの思い出。


タルホは首を振ります。

「違うわ、わたしたちはただ押しつけただけ」

「すべてのものを、あなたに託しただけよ」



でも、こんなことも言った。

「そうね、してあげられたこともあったかな」

「むやみやたらな おせっかいとか」


だって、ふたりは子どもだから。


子どもじゃないと言う、エウレカ。

そういうところが子どもだと言う、タルホ。

ふたりはクッションをぶつけ合った。


まるで姉妹?

それとも母子?






ホランドはこう言ったことがある。

「おまえとレントンは、どこまでいっても違う生き物だ」

「共にいれば、いつか必ず、歪(ひずみ)が生まれる」

「ふたりが近づいた先、互いがひとつになったとしたら、その歪は広がり、悲劇となって、行きつく先に必ず砕け散る」


忌まわしき前例、ノルブとサクヤ。

「おまえが使命を帯びて生まれた以上、それはどうしようもない、変えようもない事実だ」


「うん、分かってる」と、エウレカは小さな声で答えた。


ホランドは続ける。

「そんなおまえの苦しみに、オレたちは託さなきゃならねえ」

「おまえが人間じゃなかったことに、すべての希望を賭けなきゃならねえ」

「オレにはもう、おまえを守る術も資格も持ってねえ」

「ざまあねえよな…ダセえよな…」

「すまねえ…エウレカ…」

「ホント、すまねえ…」


涙に鼻水、すべてをさらけ出して、ホランドは謝った。


エウレカは言う。

「ホランドのせいじゃないよ」

そしてタルホにも言った。

「タルホ、だいじょうぶ。必ず守るよ、この星は」

「だって、せっかくみんなと出会えた場所だもん」


エウレカは穏やかに笑います。

「誰かのためじゃない」

「この星は、わたしにだって、大切な場所だから」



「ああ、そうだな」と、ホランドも うなずいた。

「この星は数えきれないほどの夜空の輝きの中から、たったひとつたどり着いた、おまえの故郷だからな」


エウレカとレントンは、同じ星で生まれた男の子と女の子。


でもエウレカは、挨拶なしに行こうと思う。

ホランドに、こんな伝言を頼んで。


「一番最初の欠片は、レントンとわたしが出会ったあの場所に返すからって」

思い出の地、ベルフォレスト。

「ふたりのすべてがはじまったところに…」



こうして、エウレカは行った。

どれだけ手を伸ばしても、手を差し伸べることのできない場所に。


ホランドは言う。

「オレたちにはもう、何もしてやれねえ」


でも、タルホは「あるわよ!」と言った。

「わたしたちにだって、できること」

「最後まで目をそらさないこと」



ホランドも誓います。

「瞬きひとつだって、見失うものか…」


エウレカセブン タルホとホランド





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「行かなきゃいけない、動かなきゃいけない、わたしの欠片を星に返すために…」

そしてまた、エウレカは言った。

「わたしは、人間に生まれたかった」

「あの人と一緒に、生きていたかった」

「それは、たったひとつの想い」

「そして、決して叶ってはならない願い」




「どうしてよ!」と、アネモネは訊く。

「分かんない! いったい、何してるのよ?!」

「こんなところでチンタラチンタラとあなたは!」

「ねえ、こんなところで、なにグズグズしてるわけ?」

「あなた、この星を守りたいんでしょ?」

「だったら、すぐに行きなさいよ!」

「わたしなんかとっととぶっ潰して、はやくこの星を救いなさいよ!」

「あなたにはその力があるんだから!」

「授けられたんでしょ? あなたはその資格を!」





アネモネは言う。

「何でそんな、つらそうな顔してんのよ!」

「どうして? どうして最後の欠片を大地に返そうとしないの?」

「たったそれだけのことじゃない!」

「そうすれば、あなたはすべての人の記憶に、永遠に刻んでもらえるのよ!」

「あなたは、人類って観衆が見守る舞台で、たったひとり、最強のヒロインになれるのよ!」

「この星を守るって大役をもらっておいて、好きな人の心まで勝ち取ろうって、エウレカ、あなたズルいのよ!」

「だったら、わたしがあなたを倒してやる」

「あなたを倒して、わたしがその舞台に立つ」

「人であることを捨てるだけで、たったそれだけでみんながわたしを見てくれるんだったら」

「生まれてきてしまったことに意味がもらえるんだったら、こんなもの、今すぐにだって捨ててやる!」




「そんなこと言うな、アネモネ!」

あの人はそう言った。

ドミニク・ソレル。

デューイの腹心。アネモネの世話係。鼻血要員。(山崎@タモリ倶楽部&ウルトラゾーン@樹範、ファミレスでひとり酒)

「そんな悲しいこと、言わないでくれ」

「アネモネ、わたしが見てるから」

「君を見てるから」

「そのちょっぴりイジワルな瞳も、人一倍勝気な唇も、君の全部をボクが見てる」

「だから、お願いだよ」

「そんな悲しいこと、言わないでくれ」




「ウソよ!」と、アネモネは言った。

「あんたはわたしを、カワイソウって思ってるのよ」

「同情してるだけなのよ」

「ただ憐れだと思ってるだけなのよ!」




ドミニクは叫ぶ。

「勝手なこと言うな!」

「ひとりで答えなんて出すな!」

「君はそれでいいかもしれない」

「でも、ボクの気持ちはどうなる?」

「君を愛してるっていう、ボクの行き場を失った気持ちは?」




「どうして…」と、アネモネ。

「どうしてよ、ドミニク…」

「だって、受け止めていいはずないじゃない…」

「わたしは…わたしなんて!」




「アネモネ、すごいよ!」と、エウレカは言った。

「人ってやっぱり素敵だよ! 素敵すぎるよ!」



涙声で、アネモネは返す。

「あなたにそんなこと、言われたくない」



「うん…ホント、ズルいね、わたし」と、エウレカ。

「だって、もう決めたはずなのに」

「それでも、この気持ちを抑えられないんだもん…」

「わたしは…わたしは…」

「わたしは人間に生まれたかった!」




アネモネは叫ぶ。

「わたしは、あなたになりたかった!」



空中を落下する、ドミニクとアネモネ。


落下しながら、ドミニクは話す。

「エウレカが最後の欠片を大地に返そうと決意したその時…」


「王子様が現れたのね?」と、アネモネは訊きます。

まるで子どもがおとぎ話の続きをねだっているみたい。

「それで、続きは? ふたりは、どうなったの?」


ドミニクは言った。

「ボクらと同じさ」

「おとぎ話の結末は、いつだって…」



エウレカセブン ドミニクとアネモネ





「覚えてる?」って、あの人は訊いた。

「目いっぱいの星空だったよ」

「君が舞い降りてきた夜は」



レントン・サーストン。

世界に退屈している、14歳の男の子だった。

そこに、エウレカとニルヴァーシュが舞い降りた。


エウレカは振り返る。

「はじめて出会ったあなたは、元気いっぱいでガムシャラで、戸惑うくらい強く、わたしを抱きしめてくれた」


「ドキドキしてた!」と、レントン。

「はじめてだったんだ、そんな気持ち!」

「オレも君のこと、何も知らなかった」

「だから思ったんだ。ひょっとしたら君は、天使じゃないかって」

「神様がオレの前に遣わしてくれた、天使なんじゃないかって」




レントンは言う。

「オレはもう、絶対に君を離さない」

「絶対に!」



エウレカも言った。

「だいじょうぶ! わたしはどこへも行かないよ」

「ずっと、みんなと一緒にいる」



抱き合った後、レントンは言った。

「うん、やっぱり君は天使だったんだ」


目を潤ませ、エウレカは微笑んだ。

「うん、だから、守るよ」

「レントン、あなたが生まれたこの星は、わたしが必ず守ってみせるよ」






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エウレカは自分に言い聞かせる。

「耳を塞がなくては、瞳を閉じなければ、この足を、最後の一歩を踏み出すために…」

「わたしには、できるのだから」

「わたしには、この星を守ることができるのだから…」



「さよならは、大きな声で言おう」

「あなたの声が、かき消えるくらい」


「だって、もし今、あなたがこの頭をひとつ撫でてくれたら、きっとわたしは、張り裂けんばかりの声を上げて、泣いてしまうから…」





レントンは言う。

「長い旅をしたね、オレたち」

「たくさん笑ったね」

「そして、たくさん泣いた」

「傷つけ合ったことだって、いっぱい…」

「でも、ようやくたどり着いた」

「君は本当に天使だった」



でも、エウレカは顔を背ける。

「わたし、人間じゃない…」


「そんなの、関係ない!」と、レントン。

「君はオレの一番なんだ」

「オレは君が、大好きなんだ!」



青空の下、大地の上、レントンを前にして、エウレカは泣きました。

「うれしいよ…うれしいよ、レントン」


エウレカセブン レントンとエウレカ


「それって、とっても素敵な言葉」

「素敵すぎて、うれしすぎて…つらいよ、レントン」

「つらすぎだよ…」




近づくレントンに対し、エウレカは「もう行かなきゃ」と言う。


でも、レントンは言った。

「どうしてだよ?」

「これって、奇跡なんだよ!」

「君たちがこの星を選んでくれたのは、数えきれない星たちの中で、ボクたちが出会えたのは奇跡なんだよ!」

「なのに…せっかく出会うことができたのに…人じゃないからって、侵略者だからって、どうして離れ離れになんなきゃならないんだ!」

「おかしいよ、こんなの! おかしいよ!」



エウレカも声を荒げた。

「だって、しょうがないじゃない!」

「わたしが行かなきゃ、この星がなくなっちゃうんだから!」

「大切なみんなが、消えちゃうんだから!」


泣きながら、エウレカは言う。

「わたしは、レントンを守りたいんだもん!」

「わたしだって、あなたが一番なんだもん!」

「だから…しょうがないんだよ…」

「わたしとレントンは違う生き物なんだよ」

「一緒になんて、なれないんだよ…」

「だからお願い…笑って見送ってよ…」




「いやだ」と、レントンは顔を上げた。

「見送らない!」

「エウレカがこの星を守るなら、オレは…オレとニルヴァーシュは、エウレカを守る!」


分かってよ! とエウレカが言っても、「分かってやらない!」と返す。

「君が十苦しむなら、オレは百苦しんででも守ってやる! 抱えきれないほどの苦しみだったら、オレがその苦しみごと君を抱きしめてやる!」

「お願いだよ…ひとりで行こうとするなよ」

「ひとりぼっちだなんて、思うなよ!」

「そんなのさみしいよ…」

「悲しいよ…」

「オレがいるだろ?」



「うん、そうだね」と、エウレカも言った。

「ひとりじゃないよね」


「ああ、君はひとりじゃない!」と、レントン。


「わたしはいつでも、レントンと一緒!」と、エウレカ。


レントンも言った。

「オレはいつでも、エウレカと一緒だ!」


「約束?」と、エウレカ。


「約束!」と、レントン。


「絶対?」と、エウレカ。


「絶対!」と、レントン。


泣きながら、エウレカは言った。

「だから、必ず迎えに来てね!」



あらためてエウレカは振り返します。

「そうだね、いろんなことがあった」

「ホントに長い旅をしたね、わたしたち」

「一緒に生まれたこの星の上で、たくさん笑ったね」

「いっぱいいっぱい泣いたね」

「そして、ずっと一緒にいてくれたね」

「レントン…大好き…」



レントンは言った。

「これからだって、ずっと一緒だ!」

「どれだけ君が遠くに行ったって、道のりがどんなに苦しくったって、つらくったって、必ず見つける! だから、ずっと一緒だ!」

「もし行く手を針の山が立ちはだかるなら、全部引っこ抜いて進んでやる!」

「もし煮える油の池が邪魔したら、そんなもの、底まで飲み干してやる!」




エウレカの前に立ち、レントンは約束した。

「迎えに行くよ」

「必ず」



エウレカは、うなずきました。

「うん、待ってるから」

「ずっと、待ってるから」



そして思う。

「大事な人、とても大切な人、救いたい人たち、守りたい星――この星」

「わたしには、守ることができるのだから」

「救うことができるのだから」



声の調子が、最初とは違います。

諦めから、希望の色になった。



「またね…」

そう言ってエウレカは、レントンと唇を合わせた。



またね…やくそく…



エウレカの前に、道ができた。

「もう迷うことはない」

「わたしの進むべき先には今、信じるものがあるのだから…」


「この星に、生きるすべての人たちに…」

「とびっきりの気持ちで、きっとまた…」

「いつか、どこかで…」






<第51話 ニューオーダー おわり>





交響詩篇エウレカセブン COMPLETE BEST(DVD付)






スカブバーストでGモンスターがやってくる?

青い髪の少女を待っている?


おかえり?

エウレカ?


少年がまた、飛ぶ?



次週より、「エウレカセブンAO」始動!


 「赤い目の少年と緑の髪の背中/第1話 ボーン・スリッピー」>>





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エウレカセブンAO 第1話「ボーン・スリッピー」より。

[ episode:01 Deep blue ]


<これは絶対、渡さない!>






西暦2025年4月――


廃墟のような街がある。

信号機は傾き、ビルのガラスはすべて割れていた。

主を失ってどれくらい経つのか、もう分からない。

全部が全部、朽ち果てたようになっていて、やたらとホコリが舞っている。

そこに、蝶のようなものが飛んでいた。

キレイに光っていて、非常に場違いです。


場違いといえば、こちらも。

背広姿のメガネの男が、ホコリだらけの大地をゆっくりと上ってゆく。

男は少し先に人影を感じ、視線を上げた。

そして声をかける。

「何か探しものか? イビチャ」


双眼鏡を覗いていた男は、振り返って返事をした。

「それが待たせた相手にかける言葉か? ブラン」

ヒゲをたくわえていて、サングラスの奥の目も迫力があります。


イビチャの傍まで来ると、ブランは謝った。

「すまない。何しろこの国の役人ときたら、この期に及んで料金を値切ろうとするんでね」


「外人が怖いのさ」

そう言って、イビチャは再び、双眼鏡を覗いた。


「うちは単なる民間企業なんだがねえ」

ブランは額を指でかきます。

それから街のあり様について言った。

「しかし、ひどいもんだなあ」


現場はいつもこうだと、イビチャは言う。

「残された者の宿命だな」


そんなイビチャに、ブランは言った。

「待っているのか? あの青い髪の少女が戻って来るのを」


イビチャは廃墟の真ん中で言う。

「この惨状を、他にいったい誰が止められる?」


「死んだ子の歳を数えても何も始まらんよ」と、ブランは静かに返した。

「だからこそ我々は…」

そう言いかけたブランは、物音に振り返りました。


赤い飛行物体が、ビルの陰から姿を現した。

側面に<piedpiper>と書いたロゴがある。


飛行物体は、ふたりの真上を飛んだ。

驚いて、鳩や小鳥があわてて飛び立つ。


「まったく、こんな低空を」

頭を押さえながら、ブランが文句を言った。

「帰ったら叱りつけてやらんといかんな」

そう言って、拳を二度鳴らします。


廃墟の中で天に向かって立っているのは、東京タワー?

それをかすめるようにして、飛行物体は飛んで行った。


「さあ帰ろう」と、ブランは言う。

「我々には、やるべきことがあるからな」


「そう、もはや待っている余裕はない」

イビチャは厳しい視線を空に向けた。

「しかしそれでもなお、人は待ちたくなるのだよ」

「我々の元に、希望の木の枝を携えた鳥が戻ってくることを」



彼のスコープは、青い鳥を捉えていた。

その鳥は、曇った空の、それでも光がさす方へと、飛んで行きました。



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舞うカモメ。

エメラルドブルーの澄んだ海。底まで透けて見えます。

海の上、といってもその1メートルほど上を、少年は乗り物を走らせていた。

FP、フライング・プラットホームという小型の空中移動体です。

ただし外見は、自動車とあまり変わらない。

少年は、気持ちよさそうにFPを走らせている。

まるでカモメと並走するかのよう。


ここは、沖縄の離島、磐戸島。

少年はFPを、砂浜へと着陸させた。


と、少年の携帯が鳴りました。

着信画面には ふざける女の子の画像があって、<ナル>と表示されている。



夕暮れになった。

迎えに行ったのだろうか、少年はFPの後部座席に、着信画面の女の子、アラタ・ナルを乗せています。


後から、ナルは言った。

「ヘンな夢だった。世界が変わる感じがした」


「変わるって、どう変わるんだよ?」

運転する少年が振り向く。

彼の名は、フカイ・アオ。13歳。

不思議な、赤い目をしていた。


「よく変わるのか悪く変わるのかは分からないけど…」と、ナルは話します。

が、調子が悪くなったのか、酸素吸入器を手にした。

「ふべんな体だわ、まったく」

ウンザリしたように、そう言います。



FPを停め、ふたりは木々の中を走る階段を上る。

そうしながら、アオは言った。

「でもそれって、ユタの力がナルに見せた夢だったんじゃないの?」


ユタとは、沖縄にいる霊的な能力を持つ人。

多くは女性です。


「わかんない」と、ナルは言う。


そんなナルの手を引きながら、アオは森の中に分け入った。

「いつもの予知夢じゃないかもしれないのに、それでもノアを避難させるつもり?」


「火事になるって言ったでしょ!」

ナルはイラついたように言った。

「放っておける?」


「やっと森に慣れて来たところなのに…」

小さなライトを照らしながら、ナルの手を引き、アオは進む。


手を引かれながら、ナルはややうつむいて言った。

「家族もいない所で、ひとりぼっちにさせてはおけない」

「その気持ち、アオなら分かるでしょ?」



その瞬間、ナルの手からアオの手が離れた。

ハッとして上を向くと、アオは何とも言えない目でナルの方を見ていました。


「ごめん…怒った?」


そう言うナルの方に、アオはライトを向けました。

「あそこ」

「あそこにいる」



ナルの向こう、高い木の枝に、ノアがいました。

ナマケモノだった。

愛嬌のある顔で、ふたりを眺めます。



ノアを胸に抱き、ナルがブーたれた。

アオはこれから、海マンゴーを獲りに行くらしい。

ナルが言うには、密漁です。


ナルとノアを残し、アオは海へと向かいました。



この世界では、海上にも道があるらしい。

海にポールが立っていて、その間をFPが走ります。


黒いFP3台が、通信で話していた。

「しっかし、あれだな。IFOのECUを運ぶだけで、10万沖縄ドルとは。毎回、こんな仕事してえなあ」


「でもさあ、ガゼル」と、通信が入る。

「本当に大丈夫なのか?」

「日本軍なんか、信用して」


ナビゲーションシステムに、細身の男が映っています。


さらに重なるように、通信が入った。

今度は、ガッチリした男が映る。

「しかも、見たこともない機械、取り付けられてさあ」

「騙されてんじゃねえの?」



「っせえな!」と、ガゼルは顔を歪めた。

「おまえらだって、これ、確認しただろうが!」

そう言って、カーナビの下を指さします。

「最新型のビーコン・コントローラー」

黒い装置で、真ん中に三角のクリスタルみたいのが埋め込まれていた。

さらにその中には、緑っぽい球体が見えます。

「こいつの電波がありゃ、日本軍はオレらをさして誘導してくれる、そう言ってたじゃねえか」

中の緑は、球体ではなかった。

液体のようでもあり、光のようでもあり、魂のようでもあった。


「おいしい話には裏があるんじゃないの?」と、細身の男、ハン・ジュノは言う。

彼もまた、運び屋であるガゼルの仲間です。


はん! と、ガゼルは吐き捨てました。

「のらねえんなら、とっとと帰んな。10万沖縄ドルは、オレが頂くからよ!」

そう言うと、黒い装置に手をかけた。

すると、黒い外殻が開いて、円形のクリスタルがむき出しになりました。


それは意識してやったことではなかったらしい。

<ピピピピピ>とアラーム音が鳴ると、ガゼルは驚きの表情を見せました。


装置から、黒いガスが噴出。

車内が煙に包まれ、窓から漏れ出す。

異常事態です。

ガゼルの車は、海上を暴走した。


何とか体勢を取り直しますが、どうやらジェネレーターがやられたらしい。

ガゼルは砂浜に、車を着地させようとしました。


と、その前に少年が。

少年もガゼルも、声を上げる。

とっさにハンドルを切ったため、ガゼルの車は砂浜の上でひっくり返りました。

ただし、少年は無事です。

そして少年とは、アオだった。


車からはい出たガゼルは、アオの胸ぐらをつかみました。

文句を言いますが、アオも負けていません。

「何だよ! こっちはアンタのヘタッピな運転で死にそうになったんだぞ!」と、言い返す。


もめているところに、体格のいい男、ピッポがやって来た。

彼もガゼルの仲間ですが、体の大きさに反して、気は小さい。

「子どもを相手にしている場合じゃない」と、ガゼルを止めようとします。

が、砂に足をとられて転んだ。

抱えていたアタッシュケースから、中身がこぼれます。


運び屋にとってブツはお宝。

ガゼルはアオを突き飛ばすと、荷を拾いに駆け寄った。


突き飛ばされ砂浜に尻もちついた、アオ。

その際、緑色に光るリングが手に触れた。


一方、ハンはガゼルの車を見ていました。

これがどうも、ダメらしい。

メカに強いハンにも、お手上げです。

車のECUが、緑の苔のようなもので覆われていました。


こっそり逃げようとしたアオでしたが、ガゼルに声をかけられた。

ガゼルはアオのことを知っているらしい。

フカイのジジイんとこのガキだよな? と言う。

そして、FPを貸せと要求しました。

「どうせ、FPの1つや2つ、あまってんだろ?」

「身寄りのない外人の子を育てるくらい金持ちなんだからよぉ」



「なにぃ!」

アオが険しい顔で身構えたその時、ガゼルの車に異変が起こった。

ECUが暴走したらしい。


その異変を、山にいるナルも目にしました。

オーロラのような光の柱が、天に向かって伸びてゆく。


光の柱、曼荼羅のような円。

立ち上る粒子。


それを眺めるアオの腕を、ピッピがつかみました。

「何、ボサッとしてるんだ!」

「学校で習ってるだろ? これはスカブバーストだろうが!」



そう聞いて、アオはハッとした。

が、ピッピの腕を振りほどくと、どこかに走って行ってしまいました。


ヤバイよ、たいへんなことになっちまう。

そう言うハンの後ろで、光の柱を見上げながら、ガゼルは言った。

「たいへんなこと? そんなことはとっくに始ってたのかもしれねえな」



スイス、ゲネラシオン・ブル本社。

スクランブル待機室。

そこで、イビチャは電話を取りました。


すぐに、発令所・解析室に向かう。


「すまんな、スクランブルだ」

ブランが声をかけた。


レベッカ・ハルストレムは、スカブコーラルの反応が現れたことを告げる。

それ自体はいつものことだけれど、現れた場所が特別らしい。

また、5分前から急激に反応を増大させており、シークレット出現の可能性は、現段階で98%。


出撃を渋っていたイビチャですが、その場所を聞いて表情を変えました。



アオは、山を駆け上がっていた。

必死に、ナルの名前を呼びます。

倒れそうになったナルを、アオは支えました。


「大丈夫だよね? わたし、大丈夫だよね?」

ナルはアオに、涙ながらに訴えます。


その時、光の柱が輝きを増した。

そして急激に、収束しました。

と思ったら、地面を砕くように大爆発が起こった。


ガゼルらは車に乗り、退避していました。

上空から、砂浜の方を眺める。

「これが、スカブコーラル…」


ガゼルの視線の先には、緑色の輝きを持った胞子のカタマリのようなものが。

巨大なキノコ? あるいは、サンゴのようにも見えます。

それが、粒子をまいているように見える。



日本軍特命輸送艦しもきた。

日本軍も、スカブの輝きを視認していました。


一時撤退を勧める艦長に対し、将校らしき男は「待ちましょう」と言った。

「リスクは承知です。ですが、動かない巨人を持って帰って、誰が喜びますかねえ」

「沖縄の人を信じましょう」


そう言いながら、誰かを信じているようには見えない。

「どうせ我々は、待つほかにない」

将校は、そう言った。



車を走らせる、アオ。

アオはスカブの光の中に、不思議なものを見た。


車は事故りましたが、アオ、ナル、ノア、全員無事です。

ホッとしたその時、轟音と共に、山の向こうが何度も光った。

それが続いたのち、閃光のあと、大きな爆発が起こりました。


いったい何が起こっているのか、アオにも分からない。

でも、なぜだか、すごく悲しい気分になった。



エウレカセブンAO 第1話 ボーン・スリッピー





エウレカセブンAO クリアファイル



 


沖縄消防庁のヘリが飛ぶ。

海岸線の森に、火の手が上がっていました。

街の消防団や救急車も出動し、作業に当たっている。


車を走らせながら、アオは情報を集めようとしていた。

「さっき見たのが、やっぱり、Gモンスターだったんだ」

「やばいなあ。じっちゃんに、何て言い訳しよう」



そのじっちゃん、フカイ・トシオは、医療バッグを手に出かけるところでした。

気骨のありそうな、白髪の老医師。

「おそかったな」と、トシオはアオに声をかけた。


アオは玄関に突っ立ったままで、ただいまと返事した。

イタズラした小僧のような振る舞いです。

何か言う前から、悪さをしたと顔に書いてある。


中央医院に呼ばれたと、トシオは告げました。

帰りは朝になるから先に寝とけと言う。

明日は入学式らしい。

それ以上は言わなかった。


「やっぱり、それだけか…」と、アオは言った。

「もう、無理に世話しなくたっていいんだよ」

「オレだってもう、働けるんだしさ」



「くだらんことを言うな」と、トシオは返す。

「子どもを学校に行かす、それが親の責任だ」

「たとえ血がつながってなくてもな」


当たり前のことのように、そう言う。


ウソ偽りないことが、アオにも分かった。

「じっちゃん」、そう呼ぶ顔が自然とほぐれます。

「オレのFP、貸そうか?」


「年寄りに、あんなもん、運転させる気か?」

そう言って、トシオは仕事へと向かった。



輸送艦上では、取引が行われようとしていました。

ガゼルたちが、到着したのです。


「オレらはヤマトンチュとは違って、約束は守るんだよ」

そう言いながらガゼルは、甲板上にあるシートを気にしていました。

明らかに、何かを隠してある。


取引成立、と思われましたが、中身が1つ足りない。

例のリングが、それだった。

アオはあのドサクサで、家に持って帰ってしまったのです。

別に考古学者だから何でも持ち帰る癖があるわけではない。

あれ? 次の掲載は5月だっけ?



アオのための食事が用意されていました。

アオとトシオ、ふたり分。

生い立ちの事情で、アオはよく引け目を感じる。

でも、それをトシオにぶつけると、(表面的にはそうでもないけれど)愛ある言葉が返ってくる。

それを確かめることで、アオは何とかやって来れた。

キレそうになっても、キレずに何とかおれました。


食事を見て酒のつまみばかりじゃないかと言いつつも、そんなに悪い気はしない。

柱に掛けてある制服を見上げて、アオはつぶやいた。

「たかが制服を着るようになるだけなのに、何で、何かを負っちゃう気分になるんだろうな…」



6時間以内に、足りなくなったブツを持って帰る。

新たか契約が、ガゼルと日本軍の間で結ばれました。


そのブツ、リングを手に、アオはナルに電話していた。

幼なじみだけあって、悪態をつきながら、心配し合っているようです。


アオは話しながら、リングを月にかざしました。

それはまるで、深い緑をした目のようにも見えた。

そんな様子を眺めるアオの目は、赤い。


アオは、ナルの家に行くことを遠慮しています。

ナルはそのことについてこう言った。

「アオのお母さんが何をしたのか、わたしは知らない。でも、それって、アオと関係ないでしょ? アオはアオじゃない。そんなこと いちいち気にして、どうすんのよ」


「だけど…」と、アオは言う。

「オレ、やっぱり、違うしさ」


このやり取りは何度となくあったのか、ナルは「はあ?」と言ってから話した。

「あのねえ、そりゃアオは外人だけどさあ、でも、死ぬわけじゃないでしょ? わたしに比べりゃ、どれだけマシなのよ」

でもを連発するアオに呆れたか、「もう寝る!」と言って、ナルは電話を切りました。


ワケありのふたり。

危うい心を、何とか支え合います。


明日、これあげたら機嫌なおしてくれるかな?

リングを手にして、アオは夜空を見上げた。



ガゼルは、失くしたブツを探します。

砂浜に来てみたものの、デカい穴があるだけ。

底が見えないような深い穴です。

これでは見つかるはずがない。


でも、ガゼルは、別のことを考えていました。

やっぱ、おかしい。

ブツを運ぶだけだったはずなのに、スカブが出て、Gモンスターが出て、おまけに日本軍の軍用FP。

やばいことに、巻き込まれたのかもしれない。

いつもうるさいほどなのに、この砂浜周辺だけは、鳥や虫が鳴いていませんでした。



今日は、入学式。

ナルは制服を着て、家の前で記念写真を撮る。


その時、昨日と同じ印が現れた。

空に向かって伸びる光の柱。

そこから生える、曼荼羅のような円。


スカブバースト?

一度出たところには、二度と出ないのではなかったのか?


が、柱は海にも現れた。



沖縄県知事からだろうか、ブランは出動要請を受けていました。

民間企業ゲネラシオン・ブル。

想定外に出現する未知の存在から人類を守るのが仕事です。

ブランは、その社長。

民間だから、金をとります。


空中強襲揚陸艦 トリトン号。

衛星軌道上に浮かぶこの艦も、ゲネラシオン・ブルの所属です。

契約を結んでないのに出撃するなんてと、チーム・パイドパイパーの作戦参謀、レベッカは怒っています。

今から駆けつけても、シークレット戦に間に合うはずもない。

無用な戦いに出て子どもたちに何かあったら、どうするつもりかと。


が、イビチャは言った。

「今何かあっているのは、磐戸島の子どもたちだと思うがな」


レベッカは、何も言えなくなりました。



その磐戸島。

光の柱が収束すると、爆音と共に、空に穴が開いて、スカブが落ちてきた。

地面に接したかと思うと、まるで津波のように、隆起した地面が押し寄せてきます。

それは島の半分を呑み込む勢いだった。


入学式に向かおうとしていたアオの背後にも、土煙が迫ります。

アオを土煙が包んだ。

遠くには、巨大なスカブが鎮座している。


ナルとじっちゃんを心配するアオは、携帯を手に取りました。

けれど回線が混み合い、通じません。

ネットにも、接続できない。


そんなアオに、近隣の人が声をかけてくれました。

早く逃げろ、Gモンスターが出てくると、軽トラの上から叫んでいる。


また、例の光の柱が立った。

収束した後、空に穴が開く。

あの時のGモンスターが、穴から飛来しました。

いくつかの図形が、飛行体を形成している。


光を発したかと思うと、それはビームのようなものを発射した。

それが、アオのすぐそばに落ちてきました。

地面が砕け、アオは吹き飛ばされた。


さっきの軽トラが、めくれ上がったアスファルトの下敷きになっている。

腰を抜かしながらも、アオは悲鳴を上げ、逃げ出しました。


Gモンスターは、海上からビームを発射。

街を焼いた。

次々に、島の施設や民家が破壊されてゆきます。


ウソだ、ウソだ、ウソに決まってる。

そう唱えながら走るアオでしたが、目の前には現実が広がっていた。

見慣れた石垣、電柱、家々、どれも無残な姿に。


「そうか…仲直り…できなかったんだ」

アオは、あのリングを握りしめました。

それを額に当てた後、思い直して海上からビームを発射する物体に目をやる。

「あいつが、あいつが!」


その時、アオの手が光った。

いや、あのリングが、緑色に光っている。

チクッとしたかと思うと、リングが閃光を発した。

アオは思わず、手を離してしまいました。


もう一度手に取りよく見ると、文字が浮かんでいます。

<EUREKA AO>


アオの脳裏に、あの人の姿が浮かぶ。

幼かったアオが見つめる、あの背中。

緑の髪の女性。

手には、このリングが。


そこにガゼルが降り立った。

「やっぱ、おまえが持ってたんだな」と、仁王立ちします。


ガゼルはリングを奪おうとしましたが、アオは手を離さなかった。

抵抗し、ガゼルの腕に噛みつく。


「渡せない!」と、アオ。

「約束したんだ。これが何なのか知らない。だけど、これは渡さない」

アオは吠えた。

「これは絶対、渡さない!」



エウレカセブンAO 第1話 ボーン・スリッピー






<つづく>





コンティニューvol.45






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エウレカセブンAO 第2話「コール・イット・ホワット・ユー・ウォント」より。

[ episode:02 AO's cavern ]

(cavern:洞穴、大洞窟)


<これがアオの、うみきょんちゅなんだ>




青い髪をした女性の背中。

リングはその記憶を呼び起こした。

<EUREKA AO>

リングに浮かんだ、その文字の意味は?


(青は、藍色から緑系の色まで総称する)



エウレカセブンAO 1 (初回限定版) [Blu-ray]






空中強襲揚陸艦トリトン号。

チーム・パイドバイパー隊長であるイビチャ・タノヴィッチは、トリトン号の艦長も兼務する。

イビチャは茶色いサングラスの奥にある鋭い眼光を、モニターに向けていました。

「シークレット…スカブコーラルまでの距離、4キロか…」


同じく作戦参謀である、レベッカ・ハルストレム。

髪をアップに束ねた、勝気そうな女性。

IFO隊を指揮します。

「ゲオルグ、タイプは?」


レベッカがそう聞くと、モニターにキャラクターの絵が出て、答えました。

「ハーイ、ミス・ハルストレム。現在、本部と照合中ですが、いくつかの形状が1940年代に南米に出現したものに似ています」

「しかし、当時の写真はあまり残されておらず、生存者の――」



(ゲオルグとは、人工知能か何か?)


イビチャがクルーに訊ねた。

「到着の時刻は?」


クルーによると、あと11分。

そして、ゲオルグの説明の続きによれば、シークレットはあと8分でスカブコーラルに到達。

大規模なスカブバーストが起こることが予想されるという。


IFOのコックピットで、青い戦闘スーツに身を包んだパイロットが言った。

「間に合わない!」

「到着してから発進じゃ、遅すぎる!」


その声、ヘルメット越しに見える顔。どうやら女性、それも女の子といった年齢に見えます。

「ここで出して!」と、彼女は要求した。


彼女は、フレア・ブラン。

チーム・パイドパイパーのIFOパイロット。

ゲネラシオン・ブル社長 クリストフ・ブランの娘です。

若い娘特有の、血気盛んさがうかがえる。


「フレアはそう言っているが、エレナも同意見か?」

そんなイビチャの声を、相手は髪をいじりながら聞いていました。


IFOコックピットでヘルメットを脱ぎ、前髪を気にするかのように触っている。

「わたしも出ますよ~」と、ピンクの髪の少女は言った。


彼女の名は、エレナ・ピ-プルズ。

いかにもマイペースそう。

いい趣味をしているらしい。


レベッカとエレナ。

彼女たちが、イビチャが言っていた<子どもたち>なのだろうか。


「ダメよ」

ふたりの意見は、レベッカによって却下されました。

「沖縄自衛隊がスクランブル発進中で、連絡がつかない」


どうやら、民間会社だけに、契約云々があるらしい。


「何が起こるか、一番分かっている国だろうに」

イビチャは苦々しく、そう言いました。


一番分かっている国?

過去に何かあったということ?

東京タワーがある廃墟と、何か関係が?


トリトン号は、大気圏を降下する。



「だけど、これは渡さない!」

「これは絶対に、誰にも渡せない!」


白い肌に赤い目の少年。

フカイ・アオ。

ガゼルたちに囲まれるも、リングを渡すことを拒否します。

「絶対に、絶対にだ!」


鬼気迫る少年を、ガゼルはポカンと見ていた。

そして、めんどくさそうに頭をかきました。

「だったら、一緒に来るんだなあ」と、ガゼルは言う。

「別に、ドサクサまぎれに泥棒しようってわけじゃねえ」

「おまえも、島生まれだろ?」



最後の言葉に、アオは反応した。


「島をこんなにされて、おまえ黙ってられんのか?」

その言葉に、ガゼルの本気が感じ取れます。

チャラついた外見とは別の何かが、潜んでいるように思える。



沖縄自衛隊の巡視艇が、日本軍の輸送艦に警告しています。

「日本軍輸送艦に告ぐ、貴艦は沖縄諸島連合の領海を侵犯している。これは、警告である」

沖縄海上自衛隊 第1掃海隊 高速巡視艇 しーさー 他3隻が、サイレンを鳴らしながら追走します。


しかし、応答なし。

艦長は、ヤマトンチュがっ! と吐き捨てた。

そこに、ゲネラシオン・ブルをお迎えしろとの伝令が入りました。


「国際レスキュー様か」と艦長は言う。

「日本の輸送艦を、見逃せってか?」

「10年ぶりにこの海でスカブバーストって日に、日本軍が派手に領海侵犯」

「これを単なる偶然と思えというのか」



シークレットとスカブコーラルが接触すれば、この海域も無事ではすまない。

日本軍輸送艦は、艦長の判断で、海域を離脱しようとしていた。

ただ、例の将校は納得していないようです。


その頃、輸送艦の甲板で、異常が起こっていました。

シートをかぶせられたメカの一部が、緑色に光っている。

隊員たちに緊張が走ります。


そして、シークレットと呼ばれる謎の存在も、これに反応。

キョロキョロと首を振るようにした後、海上を移動しだした。



アオは、ガゼルのFP(フライングポッド)に同乗。

説明を受けました。

あのリングは、軍用FPの鍵だという。

ガゼルは、日本軍に協力してもらおうと思っているようです。


「でも、敵国なんだよ!」と、アオは言った。


ガゼルには考えがありました。

協力しないならFPを盗み出し、バケモノを追い払うだけだという。


FPの窓から見えるのは、スカブコーラル。

巨大なキノコにも見えるし、カサブタのようにも見える。

一部が緑色に光っているのですが、それはFPやIFOが出す緑色の軌跡にも似ていた。


「なんてデカさだ」と、ガゼル。

「はやく何とかしなくちゃな」


<スカブバーストでGモンスターがやって来る>

それは、沖縄の教科書にも載っていることらしい。

すべてを破壊するバケモノ、Gモンスター。


国際レスキューが何とかしてくれるのではと、アオは言う。

でも、ガゼルは、来てくれなかったらどうするのか? と返した。


じゃあいったい、何ができるのさ?

アオの問いに、ガゼルは「さあな」と答えます。

具体策はない。

「でも、何もしなけりゃ島がなくなる」


島のため、それがガゼルを突き動かしているようです。


約束の場所に、日本軍の姿はなし。

でも、それは想定の範囲内。

ハンが行動を予測し、場所をガゼルに知らせます。



どういうことだ! と、輸送艦の艦長は声を上げた。

シークレットが輸送艦に並走しているのです。

「シークレットはスカブコーラルが目的だろう。なぜ、本艦を目指している?」


その輸送艦しもきたに、2台のFPが近づいてきます。

ガゼルはアンカーを発射、艦に乗り込もうとしましたが、機関砲を発射された。


「やめてください! 彼らは鍵を持ってきたんですよ!」

将校が艦長を羽交い絞めにしました。


「見て分からんか! これは単なる威嚇だ!」と、艦長は言う。


その時、シークレットが停止。

主砲らしきものを、輸送艦に向けた。


シークレットと呼ばれる存在、その2枚の羽の間に青い放電現象が見られました。

かと思うと、高エネルギーが発射された。

島を恐怖に陥れた、あのビーム砲です。


そのビームが、輸送艦しもきたのど真ん中に食い込んだ。

艦は傾き、艦内は大混乱。

アンカーの切れたガゼルのFP。破片がフロントガラスを直撃した。

これでは前が見えません。


「フロントガラス、ぶっ壊せ!」とガゼルは叫ぶ。


同乗しているのは、後部座席のアオと、助手席のピッポ。

でも、ピッポは、助手席で頭を抱えていました。

体は大きいけど、気は小さいのです。


ガゼルに急かされるようにして、戸惑いながらも、アオはキックでガラスを割る。

ガゼルも手で、割れたガラスをはぎ取ります。

これで視界良好。


が、見えたのは甲板でした。

3人を乗せたFPは、墜落するようにして着艦。

アオは外に放り出された。


傾いた艦に沿って飛ばされる、アオ。

その前には、シートをかぶせられたメカが。

アオは思わず、シートをつかんだ。


艦の爆発を見届けると、シークレットは去って行った。

こいつはいったい、何なのか?

意志のようなものを持っているようにも見えます。

あるいは、何らかのプログラム?



アオは何とか、落下をまぬがれました。

シートにぶら下がるような格好。

艦はほぼ、垂直を向いています。


「乗れ、乗れ~っ!」と、ガゼルが叫んだ。

「それが日本軍のFPだ! 乗れ!」

「つべこべ言うな! おまえが鍵、持ってんだろう!」

「おめえがやらずに誰が…」



そう叫んでいたガゼルですが、FPごと海に落下。

見えなくなってしまった。


残された、アオ。

腕を見ると、あのリングが緑色に光っています。

まるで何かを語りかけているかのよう。

躊躇していたアオですが、意を決したように顔を上げた。


と、コックピットが勝手に開きました。

最新の装置にも見えますが、同時に簡素な印象もある。

中央には操縦かん。

左右にはパネルと、いくつかのボタンが。


「電源は入ってる。やるしかないんだ」

アオはよじ登るようにして、コックピットへ。

シートに座ると、計器に目をやります。

「やっぱり、基本構造は同じ」

「大丈夫、何とかなる」

「大丈夫、島を守らなきゃ」


アオはシートベルトを締めた。



フカイ・トシオは、軽自動車を走らせていました。

アオのことが心配でしかたない。

と、そこに子どもの泣き声が聞こえた。

あわてて急ブレーキをかけます。


トシオが見たのは、知り合いの顔でした。

横転した車と、泣く女の子。

その間で、心配そうに抱えられているのは、ナルだった。



救命ボートに、あの将校が救出された。

傾き燃え上がる輸送艦を見て言いました。

「つくづく運が無いのだな、我が国は」


小さな爆発が起こって、艦がまた傾いた。

「急がないと。島を守る前にこんなところでお陀仏…」

アオは、リングが点灯しているのに気づいた。

それは操縦かんの画面とシンクロしているように見える。


その時、すさまじい爆発が起き、艦が四散しました。

アオを乗せたメカは、海中へと沈んでゆく。


気絶したアオ。

目を覚ました時、モニターの文字に気づきました。

「おかえり…おかえり、エウレカ!」


<WELCOME HOME EUREKA>


闇の中に、いくつかの光が走った。

不思議な感覚に襲われる、アオ。

髪が緑色になっている。


「なんだこいつ…急に動き出して…」

「何なんだよ、いったい」



アオの目の前、先ほどまでただのハッチだった部分に、モニターが映し出された。

って、海の中?

混乱したアオはレバーを握り、アクセルを踏み込みます。


バルカン砲が発射され、エンジンに火が入った。

海中を浮上したそれは、すさまじい波しぶきをあげ、轟音と共に姿を現しました。

緑の軌跡を描きながら空を飛ぶ機体。

アオがFPだと思っていたのは、IFO?


「あはははは、はは」と笑うのは、ガゼル。

何とか無事だったようです。

浮かぶFPの上に腰かけ、空を仰いで拳を握っている。

「やりやがったぜ、あいつ、やりやがったぜ!」


そこに、ハンが駆けつけてくれた。



再び島を攻撃しだした、シークレット。

ビーム砲が、街を焼いていきます。


その様を、トリトン号も捉えていました。

レベッカは報告する。

「シークレット、進行速度に変化なし。沖縄自衛隊からの返答もありません」


イビチャは腕組みし、目を閉じていた。

眉間に深い皺が刻まれています。

目を開けると共に、イビチャは言った。

「打つ手なしか」


その時、ポン! という電子音のあと、ゲオルグが言った。

「ミス・ハルストレム、認識コードにバグが出た模様です」

「先ほどからシークレットに急速に接近するIFOの認識コードが、昨年削除されたマーク1と同一なのです」



「何だと!」

イビチャは目を剥いた。



シークレットも、それに気づいたようです。

緑の軌跡を描いて近づいてくるそれに、顔――というものがあるかどうかはしらないけれど――を向けた。


灰色を基調とした飛行体。

ところどころが緑色になっていますが、これは発光?


シークレットは、いきなりビームを発射した。

飛行体は海上でそれを避ける。

すぐ横を飛行体が通過すると、まるで首を動かすようにして、シークレットも方向転換。


再度ビームを発射する、シークレット。

シークレットに感情があるかどうかは知りませんが、先ほどより気合が入っているようにも見える。

ビームを受けて、飛行体は黒煙に包まれました。


が、期待は無傷で、飛行を続ける。


!!


飛行体が変形した。

一瞬で人型になり、ボードに乗った?

これは、リフボード?


何とか海上で停止し、アオは肩で息した。

赤い目、緑の髪、そしてこのIFO。

あの世界のあの少年とあの少女。

それを思い出させます。


その時初めて、アオは自分が乗っているのがIFOだと気づいた。

が、呑気にはしてられません。

目の前には、シークレットがいる。


目を閉じて操縦かんを握るアオは、呪文のように唱えた。

「行くぞ、行くぞ、行くぞ、行くぞ…うぉぉおおぉぉ~!!!」


それに呼応するかのように、IFOの目が光った。



エウレカセブンAO 第2話 コール・イット・ホワット・ユー・ウォント





交響詩篇エウレカセブン (1) (カドカワコミックスAエース)






ケガをしたナルを乗せ、トシオは車を走らせる。

ナルを抱く父親らしい男性はトシオに、「あんたの世話になるとはなあ」と言った。

何か因縁があるらしい。


「わたしは医者だ」と、トシオは厳しい口調で言った。


「だが、あの女をかくまった」と、男は返す。

「あの女が来て、島は変わった。あの女が来て、島は不幸になった」

「これ以上、子どもたちまで巻き込まんでくれ」



ハンドルを握りながら、トシオは言った。

「その女の 子どもも、この島の子どもですよ」

「アオも」




背中にあるメインエンジンが火を噴く。

リフボードが緑の波を描くということは、この世界にもトラパー(未知の粒子)が?


シークレットに向かって、IFOは突進する。

ビームを器用に避け、体当たりした。

これも、アオの操縦だろうか。


きしむ、IFOとシークレット。

やがて、バランスが崩れ、IFOは空中へと跳ね飛んだ。

それを、シークレットが追撃します。


頭部のバルカン砲を発射する、アオ。

それを物ともせずにシークレットは突進し、体当たり。

IFOは落下する。


そこにビーム砲が放たれました。

が、ボードにてバランスを回復。何とか避けた。


焦る、アオ。

「何とかしなきゃ、何とかしなきゃ、何とかしなきゃ!」

気ばかりが焦ってしまう。


その戦いを、トシオも視認した。

「あれは…まさか…帰ってきたのか?」

「それとも…」


トシオは、このIFOを知っている?

ただし記憶にあるIFOは、白地に赤のカラーリングでした。



輸送艦の乗組員を救助する、沖縄海上自衛隊。

指揮する艦長は、「ひとり残らず救い上げろ! 元は同じ日本人だ!」と拡声器で怒鳴っている。


その上空を、赤いIFOが通過した。

やや遅れて来た青い機体は、巡視艇のすぐ上を飛行。

島へと向かう。


「マーク1、世界最初のIFO」

そうつぶやくのは、エレナ。

(へっ、ヘルメットが!)

「もう使い物にならないから、確かスミソニアン(博物館)送りって…」


「それじゃあ、連合軍のパイロット? でも、まるで素人じゃない」と、フレアは言います。

「シークレットをわざわざ、スカブコーラルに使づけてる」


ビームの雨を何とか避ける、アオのIFO。

そこで初めて、アオは目の前にスカブコーラルがあることに気づいた。

「何やってんだ。あの化け物がこれを壊したら、島が…消える!」


ビームを避ける、アオ。

バランスを崩して、IFOが落下する。

激しいGに、アオの意識はブラックアウトしました。


その時、ナルの声が聞こえたような気がした。


<アオ、泣かないの>


目を開けると、そこにはスカブコーラルが。

激突する寸前で、アオのIFOはバランスを回復した。


が、その前に、シークレットがそそり立ちます。

この構えは、ビーム砲、それも強烈なのを発射する体勢です。

シークレットは、まるで睨んでいるように見えた。

一瞬気後れしたアオですが、気を取り直す。


ビーム砲が発射される瞬間をとらえ、ボードを走らせて回避。

シークレットの後方へと回り込んだ。


「かわせた?」

「いや、違う」


シークレットは足元にアオのIFOがいるにもかかわらず、やみくもにビームを発射しています。

アオは気づいた。

「見えてない!こいつ、オレのことが、見えてない!」

計器を見ると、トラパー濃度は17ミリ モーラ。

アオは確信する、こいつはトラパーが濃いと見えなくなる。


スカブコーラル上空を飛ぶ、フレアとエレナのIFO。

トラパーの嵐で、視界不良です。


エレナは言った。

「サードエンジンが動いてる」

「マーク1の、研究者の誰もが作動させられず、機能すら不明だったのに」



2機の前に何かが現れた。

トラパーの嵐から抜け出て上昇、トラパーの波にアオのIFOがのる。


その姿に、フレアは言葉を失った。


エレナも、驚きの声を上げます。

「IFOが2本足で自立している?」


コックピットでGに耐える、アオ。

「感じろ、感じるんだ! トラパーの風を!」


嵐の外は濃度が薄いらしい。

シークレットがアオのIFOを確認。

追いかけます。


シークレットの腕(?)が、アオのIFOの左腕を捉える。

IFOの腕がもげます。

警告音と左舷モニターで、アオもそれに気づいた。

「ロストじゃねえ! 拾え!」


その時、IFOがビクンと反応。

目が光ると、右腕でキャッチ。

「うおぉぉ~!」

吼える、アオ。

IFOは拾った左腕で殴りつけました。


肩関節部分が、シークレットの頭部に命中。

めり込んだ。


そのままシークレットは爆発し、黒煙と共に四散しました。

やや遅れて、巨大な爆発が起こった。

奇妙なキノコ雲が生じました。


その様子を、トリトン号もモニターしていた。

ゲオルグは説明します。

「マーク1の起動が最後に確認されたのは、10年前。まだ独立前の沖縄でした。史上最大のスカブバーストが…」


イビチャは、腕組みしたまま、モニターを睨みつけていた。



トラパーの嵐の中、戦闘を終えたアオとIFOは、同じような姿勢でうなだれていた。

それを島民が発見したようです。


「見ろよ、あのパイロット」

「ホントだ、髪が青い!」


そんな声がする。


岩の欠片が落ちてきて、IFOに当たりました。

アオが顔を上げると、何人かの島民が覗いているのが見えた。

向こうも気づくと、顔をひっこめました。


「何だ?」

不思議がるアオに、声をかける者が。


「そこのIFO、聞こえるか?」

通信による、女性の声。

「国際識別信号が発信されていない。国籍、所属を明らかにせよ」


「うわっ、ヤバッ!」

アオは顔を上げ、空を見た。


フレアは通信を続けます。

「繰り返す、国際識別信号が発信されていない。国籍、所属を明らかにせよ」

「あっ!」



そんなフレアの前方を、アオのIFOが通過。


エレナがポツリと言いました。

「逃げた」


「わたしが追う」と、フレア。

「エレナは警戒して。クォーツ、まだだから」

フレアの搭乗機<アレルヤ>が追います。

ケガさせちゃだめよとエレナが言うと、フレアは「相手次第!」と。



ガゼル、ピッポ、ハンの3人組は、ハンのFPに乗り、事の次第を見ていたようです。

「すげえな、アイツ。Gモンスターを倒すなんて」


ハンの言葉に、ガゼルは「気に入らねえな」と漏らした。

妬いているわけじゃない。ただ、気に入らないことだけは分かる。



フレアはIFOを見失いました。

その代わりに、海に浮かぶ少年を発見した。

アオです。

髪はまだ、緑色のまま。


アオが目を覚ますと、目の前に金髪の女の子がいた。

顔を覗き込んでいる。

「あっ、気がついた?」

そう言って、少し髪をかき上げた。


距離の近さに、アオは驚き、戸惑いました。

声にならない声を上げ、砂浜を後ずさりする。

(健全な思春期少年の反応)

アオは女の子のスーツを見て、再度驚いた。

「きっ、君は…その制服…」


「そう、ご存知、ゲネラシオン・ブル」と、フレア。

「もっとも、泳ぎながら眠っちゃう男の子、いちいちレスキューしてらんないけどね」、そうつけ加えます。


どうやら、IFOのことはバレていない?

「どっ、どうも」と、アオは頬を指でかいた。


「それで?」と、フレアが聞きます。

「あれ、どこに隠したの」


いや、バレてた。

もろバレ。


考えるフリをする、アオ。

悩みに悩み、最後は目を点にしてみた。


「ほ~、そうくるか~」

フレアは顔を近づけました。

「あっ、ゴメン」

そう言うと、手を差し出す。

「わたし、フレア・ブラン。名前は?」


「フカイ…アオ」

握手はせずに、顔を背けて答えました。


「ふかい…あお? 単純な名前」と、フレアは笑った。

怒ったアオが顔を向けると、顔の絆創膏をいきなり剥します。

(Sか? Sなのか?)


その様子を、ガゼルら3人が双眼鏡で覗いていました。

あれこれ言っていると、ガゼルは「さあ、オレたちも行こうか」と、立ち上がった。

「ひさしぶりに、洞窟探検ってのはどうだ?」



アオが歩いて家に帰る頃には、日がすっかり落ちていました。

と、家の方から声がする。

「あんたんとこの子どもだ。基地で問題になってる」

庭では、トシオが3人の制服を着た男に何か言われていました。

「あの巨人に乗ってた子供だ!」


「わたしは知らないよ!」と、トシオは強い口調で答えた。

「だいたい新垣さん、あんたは島の人間じゃないか」


「基地で働いてるんだ」と、新垣は返す。

「今は自衛隊の使いと思われてもかまわんよ」

そう言ったうえで要求する。

「ガキはどこだ?」


アオは石垣に身をひそめ、様子をうかがいました。


「今から探しに行くところだ!」

トシオはケンカ腰に答える。

「あの子はふつうな子だ! そんなIFOだなんて…」


車に乗り込もうとするトシオに、新垣の後ろにいた男が言った。

「ふつう? 髪が青かったという目撃者がおりましてな」


それに、トシオが反応した。


聞き耳を立てていたアオも、ピクンとなる。

車へと走って、サイドミラーで確認しました。

アオは、自分の髪の色を見て言葉を失った。


幼いころ見ていた、あの背中。

染めても染めても出てくる、本来の髪の色。

<ゴメンね、アオ>

そんな言葉を思い出す。


アオは後ずさりし、駆けだしました。



さっきの巨人を動かしていたのは、フカイのアオだっていうのか?

そんな声に、ナルは目を覚ましました。

治療を受け、テントの中で眠っていたようです。


「髪が青かったという話もある。得体のしれない外人が、正体を現したのかな?」


そんな会話を聞いて、ナルは身を起こした。


自衛隊より先に捕まえると、男は言っています。

「あの巨人をどこで手に入れたのか、日本か、連合か、痛い目に遭わせても吐かせる」

「沖縄完全独立のためだ」



男の話を聞いていた1人は、ナルの父親でした。

テントに戻ると、ナルが消えている。

ばあちゃんは、ご不浄(トイレ)かねえ? と、とぼけた。

妹は、言っちゃダメだって、と素直に答える。


アオを探す、ナル。

胸が苦しくなると、酸素吸入器を使います。



探して探して、最後の場所に、アオはいた。

黒いキャップを逆さにして被っている。

ナルが声をかけると、ビクンと驚いてからゆっくりと振り返りました。

が、すぐにまた、顔を海の方に向けた。


「パパたちがアオを探してる」


ナルがそう言うと、アオはポツリと返した。

「自衛隊と、ゲネラシオン・ブルとかいうのもね」


「有名人だね」と、ナル。


冗談にはのらずに、アオは真面目な口調で言った。

「島を守ったつもりだった」

「でも、ダメなのかな?」

「オレが外人の子だから、バケモノが現れたの、オレのせいなのかな?」


振り返ったアオの目と声には、涙の色が。

「こんなになっちゃったよ」と、アオはキャップをとった。

「気持ち悪いだろう? オレ…」


ナルは駆け出して、アオの背中に抱きつきました。

「夢で見てたよ」

「アオの髪が青くて、<うみきょんちゅ>で戦ってくれてた」

「10年前も、巨人がわたしを守ってくれてた」

「同じ…ありがとう」


まわした腕に、ちょっと力を入れます。


その手に、アオは手を置いた。

「見たい?」

「うみきょんちゅ(海の巨人?)」



靴を脱いで手に持ち、ふたりは洞窟へ。

海水が、くるぶしを覆うくらいまである。


その先に、IFOが座っていた。


「これがアオの うみきょんちゅなんだ…」

ナルの目から、自然と涙が零れ落ちました。



エウレカセブンAO 第2話 コール・イット・ホワット・ユー・ウォント





<つづく>





エウレカセブンAO (1) (カドカワコミックスAエース)






<<「赤い目の少年と緑の髪の背中(第1話)」





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エウレカセブンAO 第3話「スティル・ファイティング」より。

[ episode:03 secret operation ]


<オレは子どもにスマナイだなんて、言いたくない!>




謎のIFOに乗り、シークレットを撃破したアオ。

でも、島民の反応が気になります。

過去に何があったというのか?



Escape(アニメ盤)






洞窟に隠したIFOを、アオはナルに見せた。

巨人は背中を壁にあずけ、眠っているように見えました。


「それで、また乗るの?」と、ナル。


「ううん。もう、乗らない」と、アオは答えた。

どうして? とナルが聞くと、視線を落としたまま言いました。

「ますます嫌われちゃうだろ」

「何も悪いことしてないけど、昔からみんな、オレを外人扱いして嫌ってた」

「オレも、当たり前に感じてた」

「だけど…もう、イヤだ」

「おれももう…中学生だもんな」




鼻歌を口ずさみながら、エレナはネット動画のページをめくります。

「BGM AT WORK KUSAREMAGURO DJ MIX」

「ロボアニメOP集 黄金期」

「放課後プリドル 2nd」

(いい趣味してます)

そして、くされまぐろ先生の新作に反応。


と、画面に何かを発見したとの表示が。

コックピットのハッチを開けると、プロペラ音が聞こえました。

ヘリコプターが3機、飛んでくる。



海上に浮かぶ、トリトン号。

アラート音がしています。

あわてて応答しようとするのは、レベッカ。

フレアは、ブログを更新している。

イビチャの姿もありました。

こちらはコーヒーをつぎすぎて、手が離せない。


連絡してきた相手は、エレナ。

「すいませ~ん、こんなんになっちゃいました」

画面の中のエレナは、銃を突き付けられホールドアップ状態。


レベッカは目を丸くします。



残骸をあさる、アオとナル。

下着入れの中から、イリオモテミツユビナマケモノのノアが出てきました。

父親が嫌っているため、ナルがここに隠しておいたのです。


偶然か、ノアはブラを頭にかぶっていた。

顔を真っ赤にして、ナルは引っ張り出しました。



ナルがノアをおぶり、ふたりと1匹は とぼとぼと歩く。


ナルは聞きました。

「これからどうするの、アオ?」


「分からないよ」と、アオ。

「こんな格好じゃ、どこにいても目立つだけで」


と、草むらで音が。

「捕まえろ!」と言いながら、男が2人出てきた。


後ろから来たのは、ナルの父親でした。

ナルの腕を、がっちりとつかむ。


男にタックルされ、アオは組み伏せられました。

ガムテープで、後ろ手に縛られます。

口もふさがれた。


もう1人、作務衣を着た男が後ろから現れました。

アオの帽子を取って、髪の色を確認します。


ナルとその父親を残し、アオとノアは車で運ばれて行った。



ガゼルら3人組は、あの洞窟にいました。

ビデオカメラを置いておいて、アオとナルの会話も聞いていた。


ピッポがIFOを動かそうとしますが、うんともすんともいいません。

ハンによれば、これは日本軍のものではなく、アメリカやフランスの倉庫にあったパーツを買い集めたものらしい。

ガゼルが動かそうとするも、やはり反応しない。

アオは動かせたというのに。


ピッポが言うには、アオは小学校に入る前、誰にも習ってないにもかかわらず、FPを飛ばせたという。


やがてガゼルはコックピットを降りました。

動かせる奴、つまり、アオを連れてくるつもりです。

ピッポが、アイツはもう乗らないんじゃないかと言うと、ガゼルは言った。

「乗るさ。あいつは乗るんだよ」

そう確信しているようです。



「ニュースではよく見てましたが、本当だったんですね」と男は言う。

トシオのところに来ていた、今は自衛隊で働いているという新垣という男です。


ゲネレ、ゲネランとうまく言えないでいると、後部座席のレベッカが言った。

「ゲネラシオン・ブル。青の世代が、我々の名です」


新垣が車を運転し、助手席にはイビチャが狭そうに座り、後部座席にレベッカとフレアが座っていた。


「そうそう、Gモンスター退治の専門家なんでしょ? アニメにもなってる」


新垣が話すのを、フレアは退屈そうに聞いていました。

と、車窓を眺めていると、女の子が走ってきた。


「パイドパイパーだよね? 困っている人を助けてくれるんだよね?」

少女の問いに、フレアは、うん、そうよ、と答える。

すると少女は、「ママを助けて!」と、泣きそうになりながら訴えてきた。


指差した先では、救助活動が行われています。

人手が足りないのか、消防隊やレスキュー隊ではなく、街の人が何とか瓦礫を持ち上げようとしている。


新垣が断ろうとしましたが、イビチャは「行って来い」と言った。

「話し合いは、オレたちだけで十分だろう」

そう言って、親指を立てる。

(子どもにはやさしい大男、イビチャ)


エレナは目を輝かせて、うなずいた。

愛機アレルヤの元へと走ります。


その姿を見て、新垣は言った。

「IFOが子どもにしか動かせないって、本当なんですね」

「昨夜も、アオのやつ…」



「ほう、アオ。それは昨日のIFOのパイロットですかな」

いつの間にかイビチャが車を降りていて、新垣と並んでいます。

並ぶと、イビチャの巨漢ぶりがはっきりと分かる、

「なるほど、興味深い話ですな」

イビチャは男の肩に腕を回すと、どこかに行こうとした。


「チーフ! 自衛隊との会合は?」

レベッカも車を降りました。


「どうせ、泡盛も出んのだろ」

そう言って、イビチャは行ってしまいました。

「任せるよ、参謀!」


レベッカの日頃の苦労がうかがえます。



確かに、泡盛は出ませんでした。

さんぴん茶と書かれたペットボトルを前にして、レベッカは座った。


簡素な、どこにでもある会議室。

0の字を描くように、長机が置かれています。

レベッカに対面する形で、男が2人座っている。

服装からすると、海上自衛隊の幹部と、陸上自衛隊の幹部らしい。

といっても、沖縄自衛隊ということになります。


「あれが沖縄及び琉球諸島連合が確保した、貴重なスカブコーラルです」

テーブルの奥の男が説明しました。

「あなた方の調査研究は、許可されない」


レベッカは、反論します。

「スカブコーラルは、完全に破壊されていません!」

「あのままでは、またシークレットが現れます!」



「シークレット?」と、男は笑う。

「学者さんはGモンスターをそう呼ぶそうですね」

「シークレットねえ。同じ場所に、二度もシークレットが現れたなんて、聞いたことがない」

「速やかに、出国いただきたい」



どうも、話が通じないようです。



ウンザリしながらレベッカが別室のドアを開くと、

あれ?

エレナとオッサンが踊ってる?

相手は、警察署長?


「当チームのエレナ・ピープルズを引き取りにまいりました」

そう挨拶しつつ、レベッカはエレナに耳打ちした。

「フレアと合流。密かに洋上から、スカブコーラルを監視」

レベッカさんは? と聞かれると、「1曲、歌ってく」と、マイクを握った。


(ストレス発散か?)


警察署を出る、エレナ。

手をかざして、遠くを見ました。

「クォーツがある限り、シークレットは必ず、また来る」

山の向こうは、トラパーの嵐。

そして、スカブコーラルの一部が見えた。



トラパーの嵐の中で、緑に光るものがある。

やがて、ドン! ドン! ドン! と、爆発音のようなものを発しながら、局部局部が急激に成長。

スカブコーラルの一部なのか、それとも…。


離れた場所からも、その緑色の輝きは確認できました。

そして、洋上の黒い雲の中では、炎のような紫の光が確認できた。



砂浜に面して建つ、コンクリート製の建物。

その裏手に、木造の平屋がある。

<金城琉歌スクール>と看板に書かれています。


罵るような男の声がした。

「宇宙人の子どもが、日本軍のスパイかよ!」


アオは後ろ手に縛られたまま、転がされていました。

「巨人? <うみきょんちゅ>なら知ってる」

「でっかい岩だ」


転がったままで、そう答える。


奥から作務衣の男が現れると、尋問していた男たちは下がりました。

「ひさしぶりだね、アオくん」と、男は挨拶します。


「どっかで会いました?」

見上げながら、アオは聞いた。


壁には男のポスターが貼られていました。

<てぃんさぐぬ花 金城和行>

<真の独立を語る夕べ 金城和行>


その金城が話しはじめた。

「覚えてないか」

「まあ、わたしがフカイさんのところに通ってたのは、10年前。まだ君の母親がいた頃だ」



母親という言葉に、アオは反応した。

「聞きたいことがあります」

「どうして、オレを嫌うんですか?」



金城は、少し苦しそうに答えた。

「何度も言ったんだ。空から来た女など、関わるなと」



ナルは、病院のベッドの上。

その傍らには、ばあちゃんと妹がいる。


おばあは言いました。

「そうかぁ、もう13年かぁ」

「あん時、ミツオもそれを見ていたそうだ」



ナルの父親は、入口の外で、寄りかかるようにして立っている。



<13年前>


空から女の人が落ちてくるのを、島のたくさんの人が目にした。

フカイ・トシオも見た。

今は自衛隊で働いている新垣も、漁港から見た。

家の前の砂浜で、金城も見上げた。傍らには小さな子がいる。

ナルの父親も、漁船の上から見た。

ゆっくりと、静かに、女が降ってくる。


おばあは語る。

「アオの母親は、何もない空から、突然、降ってきた」


海に飛び込み救助したのは、ナルの父親でした。

それをトシオが、治療した。


まだ、独立前のこと。

アメリカが探しに来るも、トシオが匿ったのだという。

そして、アオが生まれた。



現在。

<宇宙ガイジン出て行け>

無邪気な子どもたちは、石垣にスプレーで、そう落書きする。

笑いながら。

でも、それも、大人たちのコピーにすぎない。

深井治療所のガラスは割られ、ひどいあり様に。

ガゼルたちが覗くと、トシオがひとりで片づけをしていました。

その中に、写真が。

母が子を抱いている。



おばあの話を聞いたナルは、思わず起き上がりました。

「それだけで、アオを嫌うの?」

「ひどいじゃない!」



「ちがう!」と、声がした。

父親が、病室に入って来ていました。

「あの親子は、災いを連れて来た」

「<うみきょんちゅ>を怒らせた」




黒い大きな雲の塊が、島に近づいていました。

中には、黒とピンクの何かが…



エウレカセブンAO 第3話 スティル・ファイティング





stand by me(アニメ盤)




交響詩篇エウレカセブン (1) (カドカワコミックスAエース)






三線を弾きながら、金城はアオに語った。

「君が3歳の頃、本島近くにスカブコーラルがバーストした」

「今もある、あれだ」

「すると、米軍が君の母親を見つけた」

「彼女が連れ去られて間もなく、バーストは収束した」

「わたしたちはウワサした。あの女が<うみきょんちゅ>を怒らせて、あんなことになったんだ。スカブはあの女が呼んだのだと」



「そんなのオレにも――母さんにも、関係ない!」

アオは縛られたままだけれど、胡坐を組んで座らされている。

服は汚れ、顔にもたくさんの傷が。


金城は続けます。

「同じとき、本島に出かけていた家族が何組もバーストに巻き込まれた」

「生き残ったのは、アラタのところの娘、ナルだけだ」


「だから、オレを嫌ったのか」

「じゃあ、オレは、どうすればよかった?」

「オレに、何ができた!」



アオの叫びと共に、三線の弦が1本切れました。


少しの沈黙の後、金城は言った。

「できることは、何もない」

「だが、君ら親子をゆるすことはできない」


それは絞り出すような声だった。

純粋な恨みでない何かが、余計に苦しめているように思える。

「すまない…」

そう言う金城の顔は、歪んでいた。

彼自身にも分からない何かが歪ませる。


その顔が、アオの胸を締めつけます。

アオもまた、純粋に怒ることができない。

「ちぃっ」

そう言って顔を背けるのが、精一杯でした。


もっと、純粋に怨めれば、憎めれば、どんなに楽だろう。



ハンのFPで、ガゼルら3人は移動します。


「本島にスカブコーラルができて、トラパーバブルがはじまったんでしょ? いいことだらけじゃないか」と、ハンは言う。


後部座席のピッポは言いました。

「潤ったのは、本島ばっか。中国との交渉で、漁業権は失っちまったし」

「な~んか荒れてたよな、あの頃。この島」



それまで目を閉じて黙っていたガゼルが、口を開きました。

「島が変わっちまう。それを誰かのせいに、したかったんだ。親父たちは」

島のこととなると、ガゼルの顔は変わります。

「さあ、ぶっ壊せ」



金城のもとを、イビチャが訪れた。

新垣の襟首をつかんでいます。

締め上げたのだろうか?

新垣は、力なくぐったりしている。


一方、金城は堂々と渡り合います。

「ゲネラシオン・ブルが、あの子に何の用だ?」


新垣を放り出し、イビチャは金城に近づく。

「わたしはかつて、髪の青い女性を知っていた」

「その子どもの、母親の髪の色を知りたい」






襖(ふすま)が蹴破られました。

金城と新垣が止めようとしますが、イビチャとは、スーパーヘビー級とJrヘビー級ほどの差があります。

部屋を見たイビチャは、あ! と言った。


中の者も、あっ! と言った。

アオはノアに、ガムテープをほどいてもらっている最中でした。

(衝撃映像(1))


止めようとするふたりのことは気にかけずに、イビチャは話しかけます。

「あのIFOを、どうやって動かした?」

「ニルヴァーシュを?」



「ニル…ヴァーシュ?」

アオはその名前を繰り返した。


「かつてそう呼んでいた女性がいた。ニルヴァーシュと」


イビチャがそう話した瞬間、とんでもないことが起こりました。

壁がぶっ壊れて、青いFPがツッコんできた。

部屋の中はもう、むちゃくちゃです。

(衝撃映像(2))


「やりすぎだ~」という頼りない声は、ピッポ?


視界が開けて、様子が分かりました。

アオを車に乗せるのを、ガゼルがピッポに急かしている。


それを見た金城が走り出した。

「ジロー!」

「おまえ、何やってんだ!!」



え?

ガゼルの本名はジローで、金城の息子?


憎い相手であるアオにも冷静に接していた金城が、逆上しています。

ものすごい顔をして、ガゼルに組みついている。


そして、ピッポは新垣の息子?

ゴメンパパなんて言っている。


急なぶっ飛んだ展開に、アオも まいった。


親子ゲンカで、様子が見えてきました。

金城はアオを使い日本軍と交渉するつもりらしい。

それが沖縄の独立のためだと言っています。


「いい加減にしろ!」と、ガゼルは父親を突き飛ばした。

「オレたちがガキの頃、こいつをいつもイジメてた。ガイジン、ガイジンってな」

「何でか、分かるか?」

「親父が――いや、大人たちが言ってたからだ」

「ガイジンの子だ、宇宙人の子だ、全部あの親子が悪いんだって!」

「漁ができなくなったのも、この中途半端な独立も、みんなアオのせいにした!」

「だけど、スカブの保証金は断ったのかよ!」



弱みを言い当てられたのを払拭するかのように、金城は顔を振りました。

「子どもには分からない! いいか――」


父の言葉を、ガゼルは遮った。

「独立したいんじゃねえのかよ!」

「日本からも、アメリカからも、中国からも」

「だったら、やれよ!」

「口先だけじゃなくて、やれよ!」



バカ息子。

そう思っていた相手に、言い込められた。

やがて金城は、下を向いてしまいました。


それを見たガゼルは、余計に口惜しくなった。

「くっ、そうかよ」

「見てろよ、オレたちがやってやる!」

「オレたちがだ!」




アオを乗せ、FPは飛び立った。

家がどんどん、小さくなっていきます。


と、FPの前に黒い雲が。

それだけじゃない、黒いボディーとピンクの色がついた巨大な何かが。

Gモンスター?


ピッポは、弱気を口にしました。

「パパたち、逃げ切れるかなあ」


ガゼルは、「あんなやつら、この島、もう知るか」と、腕組みします。


と、アオが後部座席から言った。

「昨日は、島を守れって言ったじゃないか!」


振り返ってガゼルは言います。

「うるせえなあ、オレたち仲間だろ? ガタガタ言うな」


仲間? とアオ。


ガゼルはIFOを動かせと言います。

日本やアメリカと戦争だと。


でも、アオはイヤだねと返す。

もう乗りたくないと。

「乗ったおかげでこれだ」と、傷だらけの自分の顔を指さした。「じっちゃんのところで、降ろしてもらう」



その家が燃えていた。

「そんな…」

立ち尽くす、アオ。


トシオは、家の中から荷物を運んでいました。

それをアオが追いかけ、腕をつかむ。


その時初めて、トシオは髪の色が変わったアオを見た。


「誰も恨むなよ」と、トシオは言う。

「恨んだらいかん」


アオは言い返さずにはいられません。

「でも、火までつけられたんだよ」


「それでもだ」と、トシオは言った。

「大人たちはみんな、この島で生まれて、死んでいく。この島以外じゃ、生きれん!」

「この島が好きだから、この島を守りたいだけだ」

「分かってやれ」



「すまないって…すまないって、そういうことかよ」

アオは強く目を閉じた。

「そんなことかよ…」


目を開けた時、アオはトシオの白衣、そのポケットの写真立てに気づきました。


アオは言った。

「じっちゃん、逃げて」

「できれば海に!」



写真立てを奪うと、アオは走った。

ガムシャラに、土を蹴って走る。

「オレだって…オレだって、この島、好きだったんだぞ!」


その前に、ガゼルたちが待っていました。



Gモンスターの出現を受け、病人たちの避難がはじまります。

空には、戦闘機が見えた。

海にも、沖縄自衛隊の艦艇が出撃している。


その艦艇に、ゲネラシオン・ブルを代表する形で、レベッカがコンタクトします。


Gモンスターに対して攻撃を開始すると艦長が言うと、ポン! という電子音に続いて、ゲオルグが話しだしました。

「それはやめた方がいいなあ」

「シークレットはその周囲に強烈な電磁パルスを放出し、電子機器を破壊する」

「通常弾道などの攻撃にも反応し、反撃してくる。通常兵器は無力」

「もう10年以上我々が宣伝していることなんだけど、ま~だ分かってくれないんだよな、まったく」



では、どうすればいいのか?

それについて、レベッカが説明する。

「シークレットは、FPやIFOに限り、感知が遅れます。付近にあるIFOは当方の2機のみですから…」


「3機だ」と、イビチャが言った。

樹と勘違いしているのか、それとも頼もしいのか、ノアが腕にくっついています。


レベッカは続ける。

「本部が沖縄政府と再契約を締結中ですが、前回のスカブバーストが継続していると判断。チーム・パイドパイパーは、シークレット除去活動に入ります」


「…すまない」

艦長は、口惜しげにそう言った。



青い機体のIFO、RA164アレルヤ。

空中から、シークレットを観察。

解析して、データをエレナに送る。


赤い機体は、RA301キリエ。

足を出すと着陸、もう1本足(シッポ?)を出してロックした。

「ON砲出力、フル!」

左右に配置されている重火器が、火を噴きました。


それがシークレットに着弾。

と同時に、青いビームが放たれた。


「だいじょうぶ、あいつ、見えてない」とフレア。


「スカブの足もとだもの」と、エレナも言います。

「もう1回」


その時、アラート音が鳴りました。

大きなシークレットから、小さなシークレットが射出されたのです。

例のコンパスのようなやつ。


「こいつ!」

アレルヤは人型に変形。

海上で迎え撃つ。

肩のバルカン砲を発射した。


1機は撃墜しましたが、残り2機がすり抜けて行きました。

バランスを崩した機体を、フレアは立て直す

「ゴメン! 2機もらした!」


でも、エレナは落ち着いたものです。

「だいじょうぶ! 撃破するから。自分で回避してね」


言葉通り、エレナはキリエの重火器で、2機とも撃墜しました。


「ゴメン、だいじょうぶ?」

フレアはアレルヤを、キリエのそばへ。


「なんのこれしき」と、エレナは返します。


次なるシークレットの攻撃が開始されました。

小さいのが無数に射出されます。

団体さんのお出まし。



ガゼルたちに運ばれ、アオは洞窟へ。

IFOのコックピットに座ります。

前言撤回ですね。

Gモンスターと戦う気です。


でも、今度は相手がデカすぎる。

前回のが戦闘機だとすると、今回のは空母です。


IFOを見上げるようにして、ガゼルは聞きました。

「守るのかよ? おまえのこと殴った、バカな大人たちを」


「乗りたくなんかない!」と、アオは言います。

「乗ればホントに宇宙人だ」

「でも、乗らなかったら、きっといつか後悔する」

「あんたの親父さんみたいに」

「オレは…オレは子どもにすまないだなんて、言いたくない!」



バーニアに点火。

アオはコックピットに、写真を貼った。

赤ん坊を抱く、黒髪の女性。

同じ赤みを帯びた目。

安心して眠る赤ん坊の、モミジのような手。

写真の女性は、笑っていた。



アオは思い出す。

幼い頃、ヒザの上にのせられ、言われた言葉。

「動かないで、アオ」

「こうすればニルヴァーシュが、あなたを覚えてくれる」


そうやってかざされた、緑に光るリング。



コックピットの画面に、文字が浮かびました。

<WELCOME AO>


感慨の表情を浮かべ、アオは言った。

「そうか…覚えてたんだな…おまえ」

「ずっと…」




目を覚ますようにして、ニルヴァーシュが立ち上がった。

左腕は前回の戦闘で失われたままです。

頭部のバルカン砲で、洞窟の入り口を破壊。

出撃した。


緑色の軌跡が、青い空に描かれてゆきます。


Gに耐える、アオ。

目の前には、巨大なシークレットが浮かんでいる。



エウレカセブンAO 第3話 スティル・ファイティング

エウレカセブンAO 第3話 スティル・ファイティング





<つづく>





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黒電話、赤電話が主流で、冷房は扇風機、暖房は石油ストーブと炬燵という時代


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