ユング心理学の視点から見た日記。スーパー戦隊シリーズ キョウリュウジャー、トッキュウジャー、東のエデンのレビューと感想。エニアグラム、子どもが育つ魔法の言葉、話が通じない人の心理、自分に気づく心理学。ドラマやアニメから学ぶ人生観。
 
河合隼雄さんの「昔話の深層」という本に、
『生れ子の運』という昔話が紹介されています。

これは「運命」に関することや、それに抗する父親の姿、

「運命を避けようとする試みが、ますます運命をひきよせることになる」


という(リューティの)言葉などと共に語られているのですが、

そんな中で、悲惨な運命(という現実)を回避する方法のひとつとして、
紹介されたものです。



内容を非常にざっくりと紹介すると、

ある夫婦に子供が授かったので、子安地蔵さんに願をかけに行くと、
そこで分かったのは、生まれてくる子供が十八歳で、ある存在にとられること、
(つまり亡くなること)でした。

そういうことが分かっていたので、子が十八歳になったとき、
子供が予定された地に出向くのを、父親は必死に止めるのですが、
子供は親の目を盗んで、そこに出かけてしまいます。

そこで父親がとった行動は、葬式をあげることでした。
もう子供は死んでしまったものと、現実として受け容れたのです。

結果何が起こったのかというと、
非常に日本の昔話らしい出来事が起こって、
子供が十八歳でとられることはなくなったのですが、

ここで注目したいのが、
親が 実際に 、葬式をあげたことです。



いくら予言されていたとはいえ、
子供が実際にそこに行ったのを確認したわけでもなく、
ましてや、追いかけて行ったのもなく、
また、実際にとられたのを確認したでもなく、

しかし、実際に、それが起こったものと受け容れて、
葬式をあげようとするんですね。

実際に、葬式をあげるのです。

実際に、悲しんで、ですね。



おそらく、昔話というものを考えると、
その時、父親が追いかけたり、必死に止めようとしたら、
運命は成就したのではないかと思います。

つまり、子供は実際に、とられたでしょう。

しかし、この昔話では、
その運命を阻止しようと、実際には追いかけず、
むしろ、実際には諦め、

運命を受け容れて、実際に喪に服し、
葬式をあげることで、

子供をとられることは、実際にはなかったのです。



この、奇妙な 実際に こそ、
象徴なり、象徴体験なりが持つ、意味なのだと、
私は思います。


悲惨な<実際に>を回避するために、
実際に、何かしらの「それ」を受け容れ、

ごまかしではなく、実際にそれを体験し、経ることで、

実際に、陰惨な「それ」を回避できるのです。


こういうことは、なかなか伝わり難いのではないかと思いますが、

避けようのないことは、どうしたって避けようがないので、
それを経験するしかなく、
それを経るしかなく、

したがって、受け容れるしかないので、

象徴体験として、「それ」を経験し、経ることで、

実際の それを済まし、

実際に 起こるそれを、回避するんですね。


まあ、回避するといっても、
本人は、それを実際だと思って経験するのであって、
それは実際には起こらないものの、
実際にそれを体験してるんですがね。


つまり、実際に悲しいし、実際につらいんです。


うまく伝わったか、はなはだ疑問ですが、

こういう象徴的な葬式体験をすることには、
意味があると、私は思うのです。






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さて、河合隼雄先生の本の中で度々登場する、「つぐみの髭の王さま」というグリム童話。主に、アニムスを解説する時に引用されたりします。

では、まず、あらすじをば――


昔々あるところに、王さまと王女さまがいました。王女さまは桁外れに美しいのですが、困った性格の持ち主。というのも、気位も桁外れで、傲慢だったのです。

ある日、王さまは愛する娘のことを想い、花婿候補を集めて、晩餐会を開きました。しかし、王女さまの言うことにゃ、「酒樽さん」「のっぽでふらふら腰砕け」「死神みたい」など、言いたい放題。毒舌においても桁外れです。

中に、顎が少し曲った王さまがいました。目につくものすべてにケチをつけて笑いものにする、王女さま。その王さまを「まあ、どうでしょう、あの顎はまるで、つぐみのくちばしみたい」と揶揄し、笑いものにするのでした。

いくら愛する娘といえど、この数々の態度に対し、さすがの父王さまも怒りを爆発させました。王さまは、この次に戸口に現れる乞食にお前をくれてやる、と言い放ち。事実、その通りにするのでした。

王さまは通りがかったみすぼらしい門付けの楽師(門前に立って音楽を奏で、ものを貰い受ける人)と王女さまを結婚させ、城から追い出してしまいます。

こうして王女さまの苦労が始まりました。

(河合隼雄 著「昔話の深層」巻末のグリム童話 矢川澄子 訳、参照)



昔話の深層―ユング心理学とグリム童話 (講談社プラスアルファ文庫)
昔話の深層―ユング心理学とグリム童話 (講談社プラスアルファ文庫)



昔話やおとぎ話というと、それを鼻で笑って相手にしない人も昔はいたようですが(今もいるかな?)、はたしてそうなんですかね?

そりゃ、立場や位としての王さまや王女さまは少ないかもしれません。私も直に会ったことはありません。しかし、王女さまのようなとなると、話は別でしてね。王女さま然とした人、王女さまのような人やお姫さまのような人となると、割とよく見かけたりします。



あんまりこういうことを言うと女性に対して申し訳ないんですけど、上の話に戻ると、王女さまには王女さまなりの、気持ちというものも、あるのかもしれません。

というのは、親に勝手に花婿候補を集められたら、そりゃ、目につくものすべて、否定したくもなるかもしれませんね。それは人情だ。

だいたい、気位が高く傲慢だったというのも、今までそれが赦されてきたからそうなったのであって、それがどういうものか学べなかったという点においては、同情の余地もあるでしょう。

子どもは学ぶから分かってくるのであって、学ぶことなしに分かるなんてことはないんでしょうね。ま、大人だってさ。



ということは、現代に戻ると、王女さまのような人やお姫さまのような人は、それが別段問題でないとされているから今もってそうなのであって、ある意味では、学ぶ場面がなかったから、とも取れます。そうすると、その人だけを責めることはできない。

しかし、この「学ぶ」というのはたいへんでしてね。「骨身に沁みる」という言葉もありますが、身に沁みるほど学ぶというのは、けっこう、壮絶なようですぜ。





(第2回「切断する父性」に続く…)




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さて、王さまの怒りにより、王女さまは物乞いと結婚させられることとなりました。

「王さま=父性」というのは、よく分かる布置であると思います。巷にあふれる王女さまのような人を考えると、何も言えない王さま、という存在も見えてくるでしょうか。

しかし、物言う王さまというのも、怖いものです。一度(ひとたび)父性の体現者が言葉を発すると、このような厳しい現実が待っていたりするのです――



泣きながら森を物乞いの旦那に手を取られて歩いていたところ、この森は誰のものかと訊ねた元王女さまは、この美しい森があのつぐみ髭の王さまの領地であることを知らされます。

それを知ってますます悲しくなる、元王女さま。「なんてかわいそうなわたし。あの人にしておけばよかった」と嘆くのでした。

それからというもの、きれいな牧場、大きな都、そのどれもが、あのつぐみ髭の王さまのものだと知ることとなります。その度に、「なんてかわいそうなわたし。あの人にしておけばよかった」と、元王女さまは何度も嘆きます。

そして、それを見て亭主の物乞いは怒るのでした。こいつ、他の男のことばかり考えてやがる、と。



昔話の深層―ユング心理学とグリム童話 (講談社プラスアルファ文庫)
昔話の深層―ユング心理学とグリム童話 (講談社プラスアルファ文庫)



父性の体現者というのは厳しいものです。バンッ! と判断を下します。つまり、そぐわないものを断ち切る。

今の世の中を鑑みると、父性の体現者がよってたかって――は言い過ぎかもしれませんが――土下座させられそうになる世の中ですから、なかなかこういうことはないのかもしれません。しかし、そういう状況を作っておいて、「今の男はだらしない」なんて言うのですから、これはまた…

だいたい、男がだらしなくなくなったらどうなるのかというと、例えば、この話のようになるわけで、ある意味では、今の男性が弱いから今の女性は救われている、そういう一面もあるでしょう。(そればかりでもないですけどね)

しかし、いつまでも不自然な状態が続くとも思えないので、そのうち「本物の男」(という表現をするとシバかれそうですが)が現れるかもしれません。

するとどうなるかというと、その話はやめときましょう。あまりに陰惨です。

でも、もっと陰惨なのが何かというと、世の中が、傲慢な王女さまと、何も言えない従者のような王さまで満たされることだとも言えるので、必要な通過儀礼になるのかもしれません。


ああ、こりゃ、たいへんだぞ…





(第3回「ああしておけばよかった」に続く…)

(前回はこちら→第1回「王女さま、お姫さま」





一応断っておくと、私は何も、昔風のお父さんを待望しているわけではありません。あれはあれで問題あったし、今の世の中で通用するとは思えません。

ということは、男性にしろ、女性にしろ、

しっかりと男性になってゆく、
しっかりと女性になってゆく、

そういうプロセスが必要なんでしょう。

(昔に戻るのではなく、新たなそれを見つけ、体現せねばならんのでしょうね)


あるいは、

お父さんになってゆく、
お母さんになってゆく、

そういうことも望まれるんでしょう。


といっても、カタチだけのそれになる、というのではありません。

ですから、子を儲けて父になる、母になるというだけではなく、広い意味で、父になり、母になる、ということになるんでしょう。

(言葉を変えると、持っている父性をうまく開花できるようになる、潜在的な母性をちゃんと具現化する、そういうことになるでしょうか)


たいそうな例でいうと、世界の父になり、母になるとか、地域の父になり、母になる、というのもあるわけです。


ま、そうなるにはものすごくたいへんだと思いますけども…




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さあ、父性の体現者により、場を追われた元王女さま。あまりの悲しい現実に、「ああしておけばよかった」「こうしておけばよかった」と嘆きます。

しかし、こういうのは何も昔話の中の王女さまに限ったことではありません。現代女性だって、現代男性だって、少なからず経験することだと思います。

「ああしておけばよかった」「こうしておけばよかった」、誰だってそう嘆くでしょう。



貧しい小屋に連れて来られた元王女さま。ここが二人の家だと言われます。しかも、これからは何でも自分でしなければなりません。しかし、お嬢さま育ちならぬ、真の王女さま育ちです。家事など、満足にできるはずもありませんでした。

そのうち、蓄えが底をついたので、旦那は柳を切って持って帰ってきました。これでカゴでも編めというのです。しかし、うまくいきません。それではと糸つむぎをやらせてみますが、これまた、うまくいかない。手は傷つくわ、役立たずと言われるわで、落ち込む元王女さま。今は物乞いの女房です。

仕方ないので、旦那は元王女さまに、市場で瀬戸物の壷や食器を売らせることにします。知っている者に会ったらと思うと気がひける王女さまですが、そうもいってられません。とぼとぼと市場へ。



昔話の深層―ユング心理学とグリム童話 (講談社プラスアルファ文庫)
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「してもらっていた」存在が、物事を簡単に考えるのはよくあること。
「してなかった」存在が、物事を簡単に考えるのはよくあること。
私だって身に覚えがあります。(アイテテテ…)

しかし、いざ自分でやるとなると、うまくいきません。

そりゃそうです。今までやってなかったんですから。

やってないことをいきなりうまくやれるはずがない。

やってないことを簡単にできると思っていたのは、実は、間違いなのです。


こういう経験を経て、人は大人になり、寛容にもなっていきます。


本来は…





(第4回「理不尽な乱入」に続く…)

(前回はこちら→第2回「切断する父性」





しかし、こういうのは本当に、するようにならねば分かりませんよね。本当にそう思います。

してない時は誰しも簡単に言うし、私も恥ずかしながらそう言ってきましたけど、するようになれば、それが如何にたいへんなことか分かってきます。


でも、誰だって、そういう「してないこと」を持つんですよね。

そして、互いの「してないこと」を簡単に言ってしまうから、我々は不理解に苦しむのかもしれません。




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悲しい身の上の元王女さま、そこに嬉しいことも起こって――


(相変わらずドギツイので注意してください)



ところがこの商売、思わぬ売り上げをあげます。というのも、美しい売り子だというので評判になり、みんな言い値で買ってくれるのでした。喜んで商売を続ける、元王女さま。

ところがある日、酔っ払った驃騎兵(ひょうきへい)が市場に乱入し、並べていた壷などが粉々に砕かれてしまいます。

元王女さまは泣きながら家に帰り、顛末を旦那に報告するのですが、物乞いの旦那はその不注意を呆れるばかり。そして今度は、城で女中のクチを見つけてきたから、そこで働けと言われるのでした。

こうして元王女さまはお城で女中として働くことになりました。



昔話の深層―ユング心理学とグリム童話 (講談社プラスアルファ文庫)
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もともと持っているものというのは、人生において役に立つものです。この場合、元王女さまの美貌が商売の役に立ちます。それでしばらくはうまくいきました。

(元王女さまの場合は美貌でしたが、人によっては、愛嬌だったり、計算力だったり、体力だったり、直観だったり、何かしらの知識だったり、こういうのは男女を問わず、いろいろあるでしょう)


しかし、不幸は留まることを知りません。せっかくの商売が乱入者により台無しに。

もちろん、酔っ払って乱入した者が悪いのですが、商売人であるということを考えると、旦那の言うように「注意を怠った」という点も見逃せないかもしれません。

慣れていない元王女さま。悲しい目に遭いながら、こんなことも覚えねばならないようです。



元王女さまに明日はあるのか?





(第5回「本当ならあそこに」に続く…)

(前回はこちら→第3回「ああしておけばよかった」





こういうのは理不尽なことでもありますが、実際の社会でもありますよね。

当人からすれば、「だって、あの人が…」的な。

しかし、場慣れた人から見れば、「注意が足りない」みたいな。

これはどっちもその通りな部分があって、難しいですね。


しかし、運命というものを考えると、運命は、こういう状態でうまくいくことを赦してくれません。

運命は、学ぶために、学ぶだけの経験をさせようとします。

成長するためには、成長するに足る、経験をさせようとします。

だから、物語であれ、現実社会であれ、「それに足る」という、けっこう過酷な経験を強いるようです。


それは当人にとっては、堪らないこと。

本当に、本当に、つらいことだったりします。


しかし、後になって、思い返せるようになると、また違ってくるようですね…


(運命ってやつは、そういうセッティングをしやがる…)




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