ユング心理学の視点から見た日記。スーパー戦隊シリーズ キョウリュウジャー、トッキュウジャー、東のエデンのレビューと感想。エニアグラム、子どもが育つ魔法の言葉、話が通じない人の心理、自分に気づく心理学。ドラマやアニメから学ぶ人生観。
 
柳田国男「遠野物語」(青空文庫、Kindle版より)



遠野物語




[三] 位置No.124 12%


「山々の奥には山人住めり」

ある翁(おきな)が若い頃、猟をしに山に入った。ふと顔を上げると、遠くの岩の上に、美しい女がいる。女は長い黒髪を、櫛(くし)でといているようだ。顔の色はきわめて白い。

大胆で怖れを知らない男は、銃口を向けてこれを撃った。女が倒れたので駆けつけると、実に身の丈が高い女で、その黒髪は身長よりさらに長い。男は黒髪を少し切り取ると、懐に入れて、家路に向かった。けれど、途中、耐えがたい睡魔に襲われたという。

物陰に立ち寄り、うとうとしていると、夢と現(うつつ)の境界のような状態になった。その時、背の高い男が近づいてきて、懐に手を差し入れてきた。そいつが黒髪を取り返し立ち去ると、たちまち眠気は覚めた。

「山男なるべしといえり」




[四] 位置No.137 13%


吉兵衛は根子立(ねっこだち)という山に入り、笹を刈っていた。それを束にして担ぎ、立ち上がろうとしたところ、笹原の上を風が吹き渡った。顔を上げると、奥の林から、若い女が幼子を背負い、こっちにやって来るのが見える。

きわめて艶(あで)やかな女で、これも長い黒髪をたれている。子を結いつけているヒモは籐のツルで、着ている服は普通だが、裾のあたりがボロボロに破れているのを、いろんな木の葉などを添えて、継ぎ合せてある。足は地に着いていたかどうかも、分からない。

女は事もなげに近寄り、男のすぐ前を通って、どこかへ行き過ぎた。

この人はその時の怖ろしさで病気になり、亡くなったそうである。




[五] 位置No.149 14%


近年、笛吹峠を越えようとすると、山中で必ず、山男山女に出会うのだという。なので、誰もみな怖ろしがり、次第に往来も稀になった。ついには、境下峠の方に別の道を開き、こちらばかりを通るようになった。二里以上、迂回することになるというのに。




[六] 位置No.149 14%


長者の娘が行方不明になったのは、もうずいぶん前のこと。ある日、猟師が山に入ると、ひとりの女に出会った。怖ろしくなって撃とうとしたところ、女が呼びかけてきた。驚いてよく見ると、長者の娘、その人であった。

どうして、こんなところにいるのか? と聞くと、あるものに取られて、今はその妻となっているのだという。子もたくさん産んだのだか、すべて夫が喰いつくしてしまった。自分はこの地で一生涯を送ることになるだろう。人には言ってはならない。あなたの身も危ないので早く帰れと言うので、所在も聞けぬまま、逃げ帰ったとのこと。




[七] 位置No.162 15%


栗拾いに山に入って、そのまま帰らない娘がいた。家の者は死んでしまったものと諦め、葬式を出して、もう、二三年になる。ところが、村の者が山中で猟をしていると、岩窟のようなところで、この女と出会った。

互いに驚いて、聞いてみると、山に入って怖ろしい人にさらわれ、こんなところに来たのだという。逃げ帰ろうと思ったけれど、少しの隙もなかったらしい。

その人はどんな人かと聞くと、女はこう答えた。「自分には並の人間と見ゆれど、ただ丈きわめて高く眼の色少し凄しと思われる」。子どもも何人か生んだが、自分に似てなければ我が子ではないと言って、食ったり殺したり、みなどこかに持ち去ってしまうのだという。

本当に我々と同じ人間かと聞き返すと、衣類なども同じだという。ただ、目の色が少し違うとも。時々、同じような人が四五人集まって、何事かを話し、やがてどこかに出ていくのだという。食べ物などを持ちかえるので、町にも出るのだろう。

こうしている間にも帰ってくるかもしれないと言うので、猟師は怖ろしくなって、帰った。




[二九] 位置No.382 32%


天狗が住むという、高く険しい峠。岩の上に、大男が三人。たくさんの金銀を広げている。気色ばんで振り返ったのだが、その眼の光はきわめて怖ろしいものだった。

道に迷ったのだと告げると、麓まで送ってくれた。目を塞げと言われたので言う通りにすると、たちまち異人は見えずなりたりという




[三〇] 位置No.395 33%


地竹が茂っているところで、大きな男が寝ている。地竹で編んだ、三尺ほどの草履を脱ぎ捨て、仰向けになって、いびきをかいている。

(1尺は、約30.3センチ。3尺だと、約91センチ)




[三一] 位置No.395 33%


「遠野郷の民家の子女にして、異人にさらわれて行く者年々多くあり。ことに女に多しとなり」







山人 【やまひと】



里と交渉をもたず、慣習を異にする山中の住人。山男や山姥(やまうば)など。先住民の子孫、山の神またはその奉仕者、鬼や天狗(てんぐ)などの妖怪と想像されている。赤顔裸体の巨人で、里に現れて塩を求めるともいわれる。

(百科事典マイペディア)






山間を生活の根拠として、独自な文化の体系を形成していたと考えられる人々。《延喜式》や《万葉集》などにも記されているが、その実体は不明な点が多い。山人の伝承は全国の山間の村で聞くことができたが、その多くは山男、山姥(やまうば)、天狗、鬼などの妖怪の類である。里に住んで水田稲作農業に従事している人々からは、山は異質の空間であると認識され、畏怖の観念でとらえられていたため、多くの怪異を生み出したのである。

(世界大百科事典)






風体,慣習の異なった山男、山女といわれる人々。山奥深く入った者がときとしてこういう山人に出会ったという話がある。裸体で体躯が大きく赤ら顔といわれる。東北地方、信州、九州などで山小屋へ山男が来て餅をせがんだという話が伝えられている。

(ブリタニカ国際大百科事典)





諸説あるけどよく分からない、ということでしょうか。

「山は異質の空間であると認識され、畏怖の観念でとらえられていたため、多くの怪異を生み出したのである」というのには、納得。

背が高く、赤ら顔、目の色が違うとなると、異国人の可能性もあるのかな。

でも、異人とは単に外国の人というだけでなく、「平地人とは異なる人」ということなんでしょうね。

異なる文化、生き方、容姿など。

情報が少ない時代、異質のものと出会えば、そりゃ怖かったと思う。

実際と物語が混濁し、いろんな恐怖が生み出された可能性も。


何にせよ、今読んでも、怖い。

「口減らし」とかがくっつくと、なお怖い。





遠野物語・山の人生 (岩波文庫)


水木しげるの遠野物語 (ビッグコミックススペシャル)




[サイト内タグ]:  遠野物語



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南方 城太郎

Author:南方 城太郎
生息地:関西
分類:昭和人間
生まれ:
黒電話、赤電話が主流で、冷房は扇風機、暖房は石油ストーブと炬燵という時代


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